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永井”ホトケ”隆/tbt(tRICK bAG tRIBE) No.38
 

Music Goes On・・・先日(6/24.25)のJirokichiでやった「New Blues Power2nd
& 3rd」に来ていただいた方々ありがとうございます。次回は8/31、若いブルーズ、
R&B派の台頭をリアル・タイムで是非一度体験してください。 最近出された新譜と
これから出される気になる新譜の数々を今回は徹底して紹介したい。まずはキング
・オブ・ザ・ブルーズから。
1.b.b.King"Reflections":b.b.King(最近B.B.が小文字のb.b.になっている)の新譜
"Reflections"はまるでb.b.が自宅のリヴィング・ルームでソファにギターを抱え座
って歌っているようなリラックスしたムードだ。曲は彼が長く愛してきたスタンダ
ード・ソングの数々。リラックスしているとはいえ1曲1曲には大袈裟ではない、静
かな情熱が迸っている。 円熟という言葉だけでは表現できないもっともっと深いと
ころに彼の歌は来ている。そう、これは最高のギタリストである前に最高のシンガ
ーであるb.b.のヴォーカル・アルバムだ。97年の"Deuces Wild"以後、毎年1枚づつ
コンスタントにアルバムを発表しているb.b.は今年78才!になるけど、次は何を聴
かせてくれるのだろう。ジャケ写を見るとおじいちゃんになったけれど、本当に心
からずっと生きていて欲しいと思う。
2.Etta James"Let's Roll":ジャケットを見て彼女もやせて「おばちゃん」から「お
ばあちゃん」の域に入ってきたと思ったら中に4人の孫の写真があったが、歌声は少
しも変らず健在!前回はライヴ・アルバム、その前はジャズ・スタンダード・アル
バム。さて、今回は・・全曲オリジナルのR&Rアルバムだった。65才のR&Rアルバム
!それは素晴らしいコンセプトだと思うし、エタ・ジェイムズほど百戦錬磨のシン
ガーであれば何を歌っても安心して聴いていられるのだが、たったひとつ注文。曲
が単調だ。良い曲があまりない。エタの歌唱力だから最後まで聴くことができた・
・というのが僕の正直な気持ちだ。でも、まだまだやれるのだから次回に期待して
ます。僕としてはチェス・レコードにいた後期のファンク・アルバムみたいなのが
好きなのですが・・。
3.Tower Of Power"Oakland Zone":1967年結成のウエスト・コーストの老舗ファンク
・バンド”タワー・オブ・パワー”の新譜”オークランド・ゾーン”は73年に初め
て聴いたアルバム”タワー・オブ・パワー”と変らぬ、明るい痛快なファンク・ア
ルバムだった。ちょっとウツになって「ひきこもり」気味で、仕事にやる気の出な
い人は朝出来る限り大きな音でこのアルバムをドッカーン!と聴くといい。「よっ
しゃ!いてこましたろか!」という気分になるだろう。昔から彼等を聴いている人
は変らない新宿中村屋のカレーの味と同じで「これ、これ、これな・・」とニンマ
リするはず。
4.JUNE(山岸潤史)"Shakin'"&"WE CAME TO PLAY":ニューオリンズのJUNE(山岸潤史
)からアルバムが2枚送られてきた。ひとつはJUNEが参加しているファンク・バンド
"Papa Grows Funk"の新譜"Shakin'"。このアルバムがニューオリンズのタワーレコ
ードでかのグラミー歌手ノーラ・ジョーンズの新譜を押し退けて1位になったそうだ
が、山岸作の「ヤキニク」という新曲も入っている最も新しいコテコテ・ニューオ
リンズ・ファンクがこのアルバムにはパックされている。バンマスであるジョン・
グロウに私達は以前「ダルマ」という綽名をつけて、ダルマの人形をプレゼントし
たが、彼の体のシルエットから新たに「鏡餅」という綽名を進呈した。60年代に坂
本九の「上を向いて歩こう」がアメリカ、ビルボードのチャート1位になったが、あ
の曲のアメリカ・タイトルは「スキヤキ」だった。「スキヤキ」?「ヤキニク」?
「ヤキニク」にも歌詞をつけてシングル発売してもらいたい・・・しかし、同じ肉
だが「スキヤキ」はニューヨーク、「ヤキニク」はニューオリンズという感じがせ
んでもないなぁ・・。
5.山岸"WE CAME TO PLAY"。これは山岸と元ミーターズのベース、ジョージ・ポータ
ー、そしてドラムがジョン・ヴィダコヴィッチ。ジョン・ヴィダコヴィッチはあま
り馴染みがないかも知れないので少し紹介すると、亡き「褐色のカナリア」ジョニ
ー・アダムス、「ニューオリンズ・ファンクの父」プロフェッサー・ロングヘアー
、チャールズ・ネヴィル、ハリー・コニックJr.などニューオリンズ・ミュージシャ
ンのアルバムには数多く参加してきたレジェンドのひとりで、珍しいところではジ
ョン・スコフィールドのアルバムにも参加している。そして、彼個人のグループと
しては70年代に始めたジャズ・フレイヴァーの「アストラル・プロジェクト」もあ
る。今回の"WE CAME TO PLAY"も山岸の話では、ほとんど何も決めずに3人でステー
ジに出て即興的なやり取りの中で出てきたライヴの音をそのままアルバムにしたも
のだと言うことでアヴァンギャルドなジャズ的側面もあるが、この3人だけにそれだ
けでは済んでいない。僕の周りでは賛否両論、音楽にある種のフォームを最初から
期待する向きには面白くないのかも知れないが、僕はこういうの久しぶりで楽しめ
た。
6.コジツルカナ”コジツルカナ”:放し飼い犬”コジ”ことピアノの小島良喜が鶴
谷智生(Dr)と金沢英明(B)と組んでいる”コジツルカナ”の1st.アルバムがリリ
ースされる。発売日は8/30。レーベルは京都のライヴハウス「ラグ」のRAGMANIA。
初めての挨拶盤としては遥かに水準を越えた素晴らしい作品で3人の実力がそのまま
発揮されたものだ。1曲を除いて全てオリジナルだが、曲としては鶴谷のオリジナル
"Colour Me"が僕好みで、歌詞をつけたくなるほどで鶴谷にそう伝えたら「もう歌詞
はあるんですよ、今度歌ってください」とのことでした。コジのピアノの素晴らし
さはタッチの感触からピアノの鳴り、フレイズ、ダイナミズムまでしっかり捉えら
れている。苦言を呈するなら全体的に若干スリリングさに欠けているように思え、
もっとアウトするかと思いきや意外とまとまって終わっていた曲がいくつかあった
。でもアルバムにするにはそれの方がよいのかも知れない。いろんな人のバックで
プレイしてきたコジが自身のアルバムを出すことを僕はずっと望んでいたが、これ
で彼がバック・ピアニストとして終わらないでソロ・ピアニストとして確立してい
く礎の発端を作った感がする。もうこれからアルバムをバンバン出してほしい。そ
して、海を泳いで、アメリカ大陸の見えなくなる荒野の彼方まで首輪なし、綱なし
で走っていって欲しい。アメリカのドッグ・フードでも大丈夫そうやし・・。
7.シーナ&ロケッツ"Dream Box"&"The Greatest Sheena & The Rokkets":朋友、鮎
川誠とシーナが25年率いてきたSheena & The Rokketsの2CDと1DVDが入った25周年記
念ボックス(1万セット限定)"Dream Box"が7/2にリリースされる。いまはもうない
エルボン・レコードから出された79年の彼等のファースト"#1"の「涙のハイウェイ
」や、僕がマコチャンと下北で再会したすぐ後にリリースされた"Pinup Baby
Blues"からの「クレイジー・クール・キャット」そしてマコチャンがロンドンでウ
ィルコ・ジョンソンたちと録音してきた"London Session"からの「ルーモア」など
彼等の25年の軌跡を追った2枚のCDと1枚のDVDがドーン!と出る。そして、はじめて
のCDベスト・アルバム"The Greatest Sheena & The Rokkets"も同時にリリースされ
る。マコチャンはロケッツ以前の「サンハウス」時代から数えると30年以上のロッ
クン・ロール・キャリアを持っているわけだが、その長きに渡って貫いてきた真摯
な音楽への姿勢に脱帽する。R&RだけでなくブルーズにもR&Bにも深い造詣があり、
それらのルーツ・ミュージックに対する愛情とそれらを作ってきたミュージシャン
に対する尊敬の気持ちを僕はいつも強く彼から感じてきた。いまこうして彼等の
25年の蓄積を聴く時、下北で10年振りに再会しその夜すぐに彼等のアパートに招か
れ段ボールの箱の中にある大量のカセット・テープからあれやこれやとブルーズを
聴かせてくれたマコチャンのことを思い出す。カセットがCDになったりMDになった
りするけど彼等の気持ちは何も変っていない。本当に嘘のないふたりだ。それはそ
のまま音になっていると今回再確認した。そして、ステージでの彼らの音楽へのハ
ードな気持ちが僕は好きだ。マコチャンがB.B.の年になるには、そしてシーナがエ
タ・ジェイムズの年までには、まだたっぷり時間があるよ。おめでとう25周年!
#Ike Tuner:毎年恒例の「ジャパン・ブルーズ・カーニバル」に出演予定だったア
イク・ターナーが入国できなかった。バック・バンドは入国できコンサートに出演
したらしいが要のアイクが出なければ意味はない。
日本のニュースや音楽サイトにもほとんど取り上げられなかったので、中にはアイ
クがギャラのことかなにかでゴネたのでは・・と思った人たちもいたらしいが、ア
メリカのYahooの記事によれば実は90年(いまから10年以上も前)のアメリカでのコ
カインに関する有罪判決を日本の入国管理局は入国拒否の理由としたという。アイ
クは71才だが、5時間の尋問の末ワーク・ビザを取り消され、入国を拒否された。
71才を5時間も尋問するのか!かって有罪判決を受けた者が入国できるようになるに
は一体どのくらいの歳月が経てば許されるのか法的なことは知らないが、10年以上
も昔のことであればいいのではないか?アイク・ターナーのことを知っている人の
多くは「アイク&テイナ・ターナー」時代の彼のことだろう。彼等の一番最初の来
日は70年代前半の赤坂にあった「ムゲン」というディスコでの出演だった。僕はそ
のステージを残念ながら見ていないが、そのパワフルなライヴ・パフォーマンスが
評判となり、日本からアメリカへ火がついたという話だった。そして、ライヴ盤な
どが売れて2度目の来日になるのだと思うが、1974年(?)僕は京都会館で「アイク&
ティナ・ターナー・レヴュー」を観た。ホーン・セクションまで従え、最初にイン
ストからアイクの歌、そしてティナとコーラス&ダンスのグループ「アイケッツ」
が超ミニのアマゾネスのような衣装で登場!当時まだ20代前半であった僕には刺激
的すぎるほどのセクシーなダンス、そしてティナの豪快な歌いっぷり・・・もうこ
れぞ黒人大衆芸能というコテコテのステージを披露してくれた。その中でちょっと
印象に残ったのがストラット・キャスターのアームを使ったアイクのギター・プレ
イだった。そのアイクのギターが実は多くのブルーズ、ソウルのアルバムに入って
いることも、彼がプロデューサーとしてフィクサーとして黒人音楽界に素晴らしい
仕事を残してきたことも知ったのはその後だった。この重鎮を来日させなかった日
本の入国管理局のせいで我々は貴重なアイクの音楽を聴く数少ないチャンスを失っ
た。
#Movie:マトリックス・リローデッド/ずっと前に「スピード」という映画を大阪千
日前の映画館の前から3列目の席で観て目が回って気持ち悪くなって以来、この手の
派手なアクション、CG使用映画には用心している自分だ。しかも前の日は寝不足で
途中で寝てしまうかもという恐れもあったが、気持ち悪くもならず寝ることもなく
最後まで観てしまった。面白かったが、近未来の話なのになぜかラブ・シーンの部
屋(?)の灯りが「ろうそく」なのが気になった。また、主人公たちが食事をした
り、風呂に入ったりするシーンがないのが気になるのは私だけか?あんなに闘った
ら腹も減るし、汗臭いだろうに(服はいつも同じだし)・・と思っていたらそのま
まラブ・シーンになった・・・。
#Video:まぼろし(Sous le Sable)/2001フランス 主演シャーロット・ランプリン
グ フランソワ・オゾン監督 主演の女優シャーロット・ランプリングが昔から好
きなのでビデオ屋で借りてきた。映画を言葉で説明するのはほんとに難しい。いつ
も深い愛は人を狂人にする・・・と思っているけど、これはそのスレスレの映画。
自立し深く男を愛したことのある女性なら古傷が痛むかも知れない。シャーロット
・ランプリングの顔の皺がとてもいい。
#Book:中年シングル生活(関川夏央)/古本屋で電車の中で読む短編かエッセイを・
・・と思って探していたら古本屋で3分の1ほど読んでしまったほどおもしろかった
。中古価格250円で買った。出版されたのは2001年講談社から。しかし、ここに書か
れていることに共感するのは中年のおやじだけかも知れない。そう、おやじには痛
いほどの共感がある。
#「ヘイ!ブルースマン(仮タイトル)」(山本おさむ)/本と言えば、9月から講談
社からの漫画雑誌「モーニング」で漫画家の山本おさむさんの「ヘイ!ブルースマ
ン(仮タイトル)」の連載が始まる。日本のブルーズ事情に詳しい人たちは思わず
ニヤッとしてしまう絵がたくさん出てくるのでお楽しみに。実はそこに掲載される
ブルーズの訳詞を山本さんから頼まれて僕が担当することになった。まあ、訳詞は
毎回ではないが漫画家として立派な経歴をもたれている山本さんの作品だけにやや
緊張して現在いろいろブルーズの詞を調べている。こういうことは自分の勉強にも
なるのでほんとに有り難い。
#外タレ来日/ スティールギターをメインにした珍しいグループCambell
Brothers が来日する僕も行こうと思っている。場所/芝ABC会館ホール 6時開場 
チケットはぴあで発売中。8月のはじめには南部の歌姫、マリア・マルダーが来るそ
うだ!チェックしてくれ!
#スケジュール
6/28(sat)水戸ブルームーズ/ホトケ&ヤンシー(P) 
7/10(thu)横浜関内Stormy Monday/ホトケ&ヤンシー
7/19(sat)高円寺Jirokichi /森園勝敏 松本照夫、大西真、石井為人、永井”ホト
ケ”隆  
7/26(sat)目黒ブルーズアレイ/LEO(vo)小島良喜(P)塩次伸二(G)他
7/27(sun)水戸ブルームーズ /ホトケ&上村秀右g
7/30(wed)船橋 月/ブルーズ・パラダイス/ホトケ&上村秀右g 中野靖之g 
7/31(sun)東村山HAL/ホトケ+ヤンシー 
8/5(tue)目黒ブルーズアレイ/We Love JB ホトケがビッグホーンズ・ビー/鶴谷智
生/青木智仁たちと繰り広げるオール・ジェイムズ・ブラウンのライヴ!
8/7からホトケが若きブルーズボーイ藤倉嗣久を連れてのNew Blues Power Tourが始
まるがとりあえず決定しているものを(詳細は次回のtbtにて)8/7(fri)京都/拾得 
8/8和歌山/オールドタイム 8/10(sun)大阪塚本/ハウリン・バー 
8/11(mon)名古屋/得三 8/12(tue)一宮ソニックブリュー 各地で地元の若いブルー
ズ・フリークたちとのセッションも企画している。
8/21/小手指 サウンドストーン/塩次伸二と。
8/26/ルースター/ヤンシーと。
8/31Jirokichi/New Blues Powerの第4弾!
問い合わせ先:JIROKICHI:03-3339-2727 ルースター:03-5347-7369 「月」
/047-424-0706 ブルームーズ/029-231-8955 Stormy Monday/045-664-2085  
HAL/0423-32-3210  ソニックブリュー/0586-72-3322




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