MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.23




最近のお気に入り-Phillip Mitchell,Snooks Eaglin,Solomon Burke
 

先日、仕事の打ち合わせで新宿に行った折に、同行のK氏といつも寄る定番のレコード店「ディスク・ユニオン」に行った。ゴスペル・マニアのK氏はゴスペル・コーナーに直進し、私はブルーズ・中古盤コーナーに・・。「む〜ん、今日はこれという出物がないなぁ・・」と首をもたげると、壁の上の方に過日ここの店長に頼まれた私の色紙サインが飾ってあった。う〜ん、ものすごく恥ずかしい。こんなところに飾るものならもっときれいに書いたのに、なんか落書きみたいなやぁ・・・。すると、私の色紙の横にもう一枚色紙が・・しかもどこかで見たことのある丸っこい字だ。なんや吾妻(光良)やないか。「こんな色紙2枚飾ったら売り上げ落ちるんとちゃうか」とK氏と笑った。
その日買ったのが、Snooks Eaglinの"The Blues Of Snooks Eaglin"(Storyville STCD8054)と、Solomon Burkeの"Make Do With What You Got"(Shout!Factory DK34357)の2枚。

1.Snooks Eaglin/"The Blues Of Snooks Eaglin"
(Storyville STCD8054)(Photograph参照
このスヌークスのアルバムは新録ではなく、1985年にニューオリンズのクラブ「ストーリーヴィル」で録音されたもの。ドラムとベースとスヌークスのギターと歌のトリオで録音されたものだが、ドラマーとベーシストの名前は"Unknown"と記されていてわからない。でも、ドラムもベースもうまい!スヌークスはどのアルバムを聴いてもファンキーでタフでダイナミックだが、このアルバムはライヴだけに彼のそういう特徴がよく出ている。もちろんいなたいニューオリンズ臭もぶんぶんと漂ってくる。そして、パワフルな曲の合間に"Guess Who"のようなバラードもすっと忍ばせてくるが、これがまた素朴な歌でぐっと胸に入り込んでくる。それにしても鋭いギターはやっぱりワン&オンリー。コピーしょうとギターをもったけど途中から呆気に取られギターを忘れ、ただ聴いてました。1から12曲目までスヌークスで、13から4曲Boogie Bill Webbというおっさん(若いかも知れないが、声はおっさん声だ)が収録されていて、これがまたおもいっきり牧歌的なブルーズ。「このおっさんの自宅で録音したんとちゃうか」と言いたくなるほどのノンビリ・ムードでいい。録音場所を見たら自宅ではなかったが、"A Small New Orleans Club"と書いてあった。「小さなニューオリンズのクラブ」ってどこやねん?名前ぐらい調べて書いたれよ!おおざっぱやなぁ・・これもビッグ・イージー(ニューオリンズの別称)ということか・・。

2.Solomon Burke/"Make Do With What You Got"
(Shout!Factory DK34357)(Photograph参照
もうすぐ公開される映画"Lightnin' In A Bottle"でもテンションの高いステージを見せてくれているソロモン・バークの新譜。ジャケットの最初にヴァン・モリソンの一文が載せられているように、60年代からブルー・アイド・ソウル、白人のブルーズ&ソウル好きの歌手の間でも高い評価を受けてきたソロモンは21世紀に入ってもまったく衰えていない。ちょっと驚異の喉をしている。顔から想像できるように低い声も出るが、実に高い声までいまだに出せる上にいまだに声に張りがある。毎日マムシ・ドリンクでも飲んでいるのだろうか?それともコエンザイムQ10か・・・。これだけ素晴らしい歌手でありながら、日本での人気は・・あまりない。まあ、私の好きな歌手は日本ではあまり人気がない人が多いので、別に平気だが、ソロモンはアメリカでもヨーロッパでも高い人気と評価があるだけにもうちょっと日本でもなんとかならないかなぁと思ってしまう。私もライヴは聴いたことがないので是非一度来日して欲しいのだが、欧米の評価からするとギャラが高いんだろうな。前回のアルバムも良かったが、ややスローが多すぎる感がしたが、今回はプロデュースがDon Was。ドン・ウォズと言えば80年代にミュージシャンとしてヒット出しているだけでなく、ローリング・ストーンズ、ボニー・レイット、ボブ・ディランなどのアルバムのプロデューサーとして活躍し、90年代にはベスト・プロデューサとしてグラミー賞も受賞している大物プロデューサーだ。1曲目からロック色もあるアップテンポの曲で、おおっ!と思わせてくれる。聴いていくうちに「なんかドラムがええやん」と思い始め、ライナーを見たらなんとギャドやないの、久しぶりジェイムズ・ギャドソン!でした。そして、ギターがレイ・パーカーJr・・。あの映画「ゴーストバスターズ」の大ヒット曲を出し、プロデューサー、ソングライターとしても飛ぶ鳥をバタバタ落してたおっさんやんか。最近名前を聞かないのでひょっとしてゴーストになってしまったかと思いきや、まさかこんなところで名前を見るとは。でも、考えてみればレイ・パーカーはスタジオのギタリストとして最初始まった人で、スティーヴィー・ワンダーのバンドにもいたことがあったはず。「昔とった杵柄(きねづか)」やね。ちなみに「昔住んでた笹塚」とは私の友人、森田恭一のギャグです。そんなことはどうでもええけど、このアルバムにはドクター・ジョンと前述したヴァン・モリソン(この人の歌い方は完全にソロモンからの影響だ)が新曲を提供している。他の曲もボブ・ディラン、ローリング・ストーンズ、ザ・バンドといったところからの選曲で原曲を知っている人たちは2倍楽しめる。やっぱり、身体もそうやけど歌もド〜ンと腰が座って(もっともソロモンは最近ずっと椅子に座って歌っているけど)重量級やね。お薦めです。

3.Phillip Mitchell/"pick hits of the week"(Photograph参照
そして、それより1週間ほど前に同じ「ディスク・ユニオン」で入手したのがPhillip Mitchellの"pick hits of the week"。これには"Twenty Vintage Soul Tracks Recorded In Muscle Shoals"という副題がついていた。実は私が店内に入った時このアルバムが流れていて、「ちょっとええやん」と思いながらレコードを探していた。その内レコードを探す手が止まってしまうほど気になったので、レジのところにある「Now Playing」を見に行ったらPhillip Mitchell。フィリップ・ミッチェル・・どこかで聞いたことのある、見たことのある名前やなぁ。誰やったかなぁとジャケ写の顔を眺めても思い出せない。でも、絶対知ってる。こんな風に思い出せないことをそのままにしておくと、脳細胞がひとつ死ぬからなるべくあきらめないで思い出した方がいいとテレビ番組で言うてたなぁ。もう最近は脳細胞が死んでいくばかりで、先日は小包を送りに郵便局へ行こうと家を出て10歩ほど歩いたところで、小包を持っていないことに気づき「大丈夫か、オレ?」と落ち込んだ。フィリップ・ミッチェルなぁ・・。こういう時はレコード会社、レーベル名、曲名、プロデューサー名、レコーディング・スタジオ、参加ミュージシャン名などジャケットに書かれている情報を隅から隅まで読む。サブ・タイトルにある Muscle Shoalsというのは60年代に良質のソウル・ミュ−ジックが数々レコーディングされた「マッスル・ショールズ・スタジオ」のことだ。ソウルの女王、アレサ・フランクリンの実質的なソウルのデビューとなった"I Never Found A Love"も、パーシー・スレッジの有名なソウル・バラード「男が女を愛する時」もこのスタジオでつくられたものだ。でも、アレサのレコード会社はアトランティックやしなぁ。こんなおっさん、アトランティックんおったかなぁ?やっぱり思い出せない。ほぼあきらめかけて、そろそろ発売されるというアル・グリーンの新譜を探していた時、「フィリップ・ミッチェル・・・ああ、アル・グリーンと同じハイ・レコードにいたおっさんやがな」と思い出し、もう一度ジャケットを見ると"I May Not Be What You Want"という曲にも憶えがあった。そや!スタックス・レコードの男性デュオ"Mel&Tim"が歌ってた曲やん。ああ、その"Mel&Tim"の大ヒット"Starting All Over Again"を作った人や!あとミリー・ジャクソンやボビー・ウーマックにも曲を提供してる有名なソング・ライターや、Phillip Mitchellって。ソング・ライターでシンガーの人や。完全に思い出した。良かった。脳細胞ひとつ助かった・・・。
てな、いきさつで買ったこのアルバム、めちゃくちゃいいです。曲もいいけどフィリップおっさんの歌と声もいい。歌はストロング・タイプだけどコーラスが随所に入っているのでスウィートなところもある。まあ、録音も含めて「いなたいけど、ちょっと洒落たところもある」という感じです。


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