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「私はリズム&ブルースを創った」ジェリー・ウェクスラー、デヴィッド・リッツ著(新井崇嗣 訳)みすず書房

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あっと言う間に読んだ。興味深く、面白い本だった。
黒人音楽にある程度ハマり込むと必ず出会う名前がジェリー・ウェクスラー。50年代からR&Bそしてソウルそしてロックの名盤を出し続けたアトランティック・レコードのプロデューサーのひとりだ。彼が手がけたミュージシャンもリリースしたアルバムもあまりにも多すぎて何から挙げていいのか迷ってしまう。とてつもなく大きな功績としては、まずレイ・チャールズの本領を見抜き世に出したことだろう。ウェクスラーがこの本の中でレイ・チャールズは本当の天才で、自分がやるのはレイがレコーディングする環境を整えることだけで音楽的に口を出すことは何もなかったと言っている。しかし、それがレイにベストの録音をさせるベストの方法だと最初に気づいているところがウェクスラーの才能だ。
また、コロンビア・レコードでジャズ・ブルーズを歌ってパッとしなかったアレサ・フランクリンに、彼女の持ち味のゴスペル・テイストをたっぷり出させてソウルの女王にしたのもウェクスラーの手腕だ。彼が手がけたミュージシャン・・ソロモン・バーク、ウィルソン・ピケット、オーティス・レディング、ラヴァーン・ベイカー、ジョー・ターナー、プロフェッサー・ロングヘア、クライド・マクファター、ドリフターズ、デラニー&ボニーなどなど、、もう枚挙にいとまがない。そして、ヒットしたアルバムの数も数えきれない。しかし、ヒットしただけでなく、最も大切なのはその後の音楽シーンを変え、音楽史に残るアルバムをたくさん作っているところだ。
この本を読むとジェリー・ウェクスラーを癇癪持ちで、短気で、怒りっぽくてつき合いにくい人物としている周りの人たちもいるが、こんなに自分の生きている時間を濃密に音楽製作に使った人もいないだろう。自分の音楽的美意識がはっきりしていて、自分の好きなミュージシャンを心から愛し、いくつもぶつかり合いはあるもののいいものを作ることに邁進していく彼のあふれるほどの熱意、情熱に圧倒される。周りの人間に偏狭と思われようが、自分の耳と心を信じて粘り強く音楽をつくる人間。彼が人間的にマイナスのところを持っていようが、家庭人としては充分でなかろうが、有り余るほどプラスのことをウェクスラーはその仕事で残している。

そういうプロデューサーやディレクターや音楽メディア、出版・・いわゆるこの、日本の音楽業界にもかって数少なくそういう人がいたが、もう久しく会っていない。それは僕自身がいる場所がよくないのか、どうかわからない。
いま周りにいる人たちは、みんな、いい人になんだけれど・・・。
しかし、元々、人間的にある部分だけ過剰だったり、思入れが強すぎたり、特殊な表現が出来たり、常識外れだったりする人間が歌ったり、演奏したりしているのに、それを製作する側の者が自分へのちっぽけな風評なんぞ気にしてどうすると言いたい。まあ、音楽やっている人もやっかいな人は少なくなったけど。音楽に関わらず面白い人、興味深い人はどこかやっかいなんだけどね。

だからこの本のジェリー・ウェクスラーの"正しい変わり者"ぶりは実に痛快だった。