MY NOTES > My Feeling For The Blues > No.75




75-『ムッシュ!』
(文春文庫)(photograph参照
 

文春文庫からムッシュの自伝的な本『ムッシュ!』が出版された。これは以前単行本〜文庫本で出版されていたものに新たに加筆されて出されたもので、ムッシュの生きてこられたこれまでの道が書かれている。
読んでみるとムッシュの生きてこられたその道筋そのものが日本のポップス(ジャズ、カントリー、GS、フォーク、ニューミュージック、ロック)の歴史そのままになっているところがまずすごい!
いろんなジャンルで活動すると自分の行く道を見失ってしまう人が多い中、ムッシュはその節目、節目で流されることなく自らの決断で行くべき道を決められてきた。その決断の際に行き先を決めるムッシュの嗅覚のようなものはもう天賦の才としか言いようがない。それまでの道にすがりつくことなくすっと次の道に入っていける生き方はムッシュしかやれないと思う。しかもその入り方がいつも本当にスマートだ。私のような不器用な、無骨な者には絶対にできない。
常に自分のフットワークが重くならないようにしかも自分がなくならないように生きていくのが難しいのが音楽の世界だ。いや、音楽の世界だけでなくすべての仕事にそれは当てはまるのだろう。それをどうやったらいいのか・・・そのヒントがこの本に書かれている。
でも、この本がいちばん私たちに語ってくれているのは「自分の人生を楽しまなきゃダメだ」ということだと思う。
そう、ムッシュの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」の3番から4番にかけての詞のように。狂ったように何かに夢中になり人生を楽しめば幸せを感じることができるという・・・・そういうことをムッシュは言われているのだ。
いま、もしムッシュが私たちブルーズ・ザ・ブッチャーと一緒に演奏していてそういう幸せを感じてくれていたら、私たちメンバーはとっても幸せだ。そして、私たちとムッシュのステージを観てみなさんが全てを忘れて楽しくなってくれたらそれはまたすごく幸せだ。
本の中で私たちのことにも触れていただいてますが、ムッシュの長く輝かしい音楽の歴史の中に「ブルーズ・ザ・ブッチャー」というバンドが刻まれたことを心から光栄に思います。


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