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 Dr.John&The Lower911 At Billboard Tokyo Feb 15,2012

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前日、観に行った沼澤くんから「素晴らしい」とのメールが届き、ツアー戻りで疲れていたがドクターを聴きに行くことにした。

メンバーはDr.John(Piano,Organ,Vo)+John Fohl(G)+David Barard(B)+Raymond Weber(Dr)の4人。

ステージが始まる直前に流れていたのが、先頃亡くなったエタ・ジェイムズの"Tell Mama"だった。それを聴きながら、僕はエタとドクターがからんだ"I'd Rather Go Blind"のTV映像を想い出していた。あれ、よかったなぁ。

当日買った僕の2階席からは、ドクターはピアノに向かっているためほとんどドクターの背中しか見えないが(反対側にセットされているオルガンを弾く時はお顔が拝見できたが表情までよくわからない)、上からなのでレイモンド・ウェバーのドラムワークがすごくよく見える。

レイモンドはニューオリンズに行く度にどこかのクラブや、フェスティバルでよく観たが相変わらずグルーヴィーでキレもコクもある。前日届いた沼澤くんのメールには「ドラム・ソロで踊らされたのは初めてかも」と書いてあった。もう文句なしにどんな曲をやっても素晴らしい。しかも、ずっと観ていると所々に入れる細かいロールや、繊細なシンバルワークがそれぞれの曲に豊かな表現を与えている。美しいドラミングだった。

ギターのジョン・フォールは僕の席からは反対側だけど、リズム・カッティングのシャープで気持ちいい音が聞こえてくる。ソロもひとつひとつの音が明確で、もちろんブルージーで、スピード感もあり、ときおり「イナタイ」・・好みのタイプだ。ドクターの音楽にはぴったりのギタリスト。

ベースのバーナード・バラードはもうかなり前からドクターとやっていてアルバムにも多く参加している。ファンクものからブルーズ、ジャズ系のものまで弾きこなす安定感のあるいいベーシストで、この人もドクターの音楽に合っているミュージシャンだ。

ドクターはいろんな顔を持っていて、もちろんニューオリンズ・ミュージックの大御所であり、デューク・エリントンのトリビュート・アルバムを出すジャズ・テイスト・ドクターもいる。そして、かってはサイケデリック・ドクターだったこともあるし、ファンクなドクターでもある。
本当にもう何枚アルバムを出したのだろう・・・・演奏される様々な曲を聴きながら、その大きな背中を見ながらドクターの長い音楽生活に思いを馳せた。
新しい"Keep On Going"などもやってくれましたが、名盤"Gumbo"からの"Blow Wind Blow"や"Mess Around"は嬉しかった。あのアルバムが僕にとっては初ドクターだったから。でも、格別嬉しかったのはドクターがギターを弾いたアール・キングの"Come On"をやってくれたことだった。
なんとも味のあるドクターのギターに盛り上がっていたら、隣りにいた興奮した見知らぬ若い男に「ギター、ヤバいっすね。ヤバいっすね」と話しかけられた。思わず「ヤバイね」と言ってしまった。
"Basin Street Blues"や"Right Place, Wrong Time"なども挟んで、本当に充実したそして幸せな1時間20分だった。

大好きなドクターの"Such A Night"は聴けなかったが、気分がよかったので自分で"Such A Night♪It's Such A Night♪ Sweet Confusion Under The Moonlight〜"と口づさみながら六本木から乃木坂まで歩いた。ドクターの音楽とワインで楽しくて疲れはどこかに消えてしまった。
月いちでビルボードでやってくれないかなぁ・・・・・ドクター。

さぁ、今年もブルーズで踊れ

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正月明けてしばらく休みがありのんびりしていたが、何をするでもなく、グダグダやっているうちに早いものでもう1月が終わった。
24日に高円寺JIROKICHIで今年最初のブルーズ・ザ・ブッチャーのライヴをやった翌日、25日に荻窪ROOSTERで去年から延期されたコテツ+ヤンシーと久しぶりにトリオのライヴがあり、30日には青山CAYでブルーズ・ザ・ブッチャー+ムッシュで盛り上がり、そして、31日は横浜THUMBS UPでブルーズ・ザ・ブッチャーと"GRAPEVINE"の田中和将くんのユニット「Permanents」と対バンそしてセッション。オーセンティックなロックン・ロールとブルーズに、真摯にアプローチする若い人と久しぶりに音を交わせた楽しい夜だった。

こうして今年もライヴが始まった。

2月3日からは極寒の東北へツアーに出かける。
どのくらい寒いのだろうと、ツアー初日の青森の気温を調べてみたら最高気温0°C 最高気温−5°C。しかも暴風雪とのことで雪だるまの絵に横殴りの風が描かれていた。映画「八甲田山」状態か。
沼澤くんはツアー極寒対策を着々と練っていて、昨日はネックウォーマーなるものを購入されていた。
寒さに極力弱い私が恋のヒートテックだけで大丈夫か。
最終的には熱燗でも飲めば暖まるだろう・・・・甘いか。
東北のみなさん、ライヴで踊って歌って飲んで暖まってください。
「ブルーズで踊れ!」

「私の渡世日記」高峰秀子著

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高峰秀子は私にとってリアル・タイムの女優さんではない。
私が高校に入り映画研究部で小難しいヨーロッパ映画を好きになり、ジャンヌ・モローの写真を定期券入れに忍ばせていた頃、高峰秀子は映画出演が少しずつ減っていった時期だった。名画座のようなところで彼女が主演の「乱れる」や「女が階段を上がる時」、「名もなく貧しく美しく」などを観たのは、20才すぎてからだ。
いちばん記憶に残っているのは「乱れる」。切ないストーリーだったが、高峰秀子の押さえた色香が後半に向かってスクリーンに広がっていき、当時年上の女性好みだった私は、映画館を出てからも彼女の魅力にしばらくぼ〜っとしたままだった。色香を売り物にした女優さんではないのに、美しさの奥に甘い女の匂いを潜ませているきれいな女優さんだった。
その高峰秀子が書いたこの本「私の渡世日記」が面白いらしいと知ってからかなり年月が経っていたが、去年の師走から年始にかけて全2巻を一気に読んだ。
天才子役と言われた幼少時から映画にずっと第一線で出演していた彼女のこの半生記は1930年代からの日本の映画史でもある。
小津安二郎、山本嘉次郎、木下恵介、山本薩夫、成瀬巳喜男、マキノ雅弘、市川崑など日本の名監督と実にたくさんの名画を残した彼女の歴史が生き生きとした文章で書かれている。名女優であると同時に素晴らしい名エッセイストでもある。

Etta James Last Album "The Dreamer"

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Etta James   "The Dreamer"(Verve Forecast 0602527831893)
去年の11月にエタ・ジェイムズのニュー・アルバムがリリースされ、それがどうも彼女の最後のアルバムになるらしいという記事が雑誌に出た。それはどうも本当らしい。アメリカのネットを検索しても落ち込んでしまうような情報ばかり目に入ってくる。何年も前から彼女がいくつもの病に冒されているという話は聞いていたが、これが最後か・・・。
現在74才になる彼女は10代の初めから歌っているから60年近く、レコーディング・キャリアだけでも55年は歌い続けていることになる。黒人音楽の歴史に残してきた功績を考えても、もう引退しても誰も文句はいわないだろう。しかし、最後だと言われるこのアルバムを聴いてもまだ彼女は歌える。
もちろん、全盛期のような聴く者を完膚無きにまでに圧倒するあのエナジーはない。往年なら龍のようにさあ〜っと高音域に上りつめて、しばらくハイ・テンションをキープして聴く者を離さなかったが、もう彼女はそのテンションには行けない。上りつめていく声は出ない。年老いたのだ。
かと言って、歌唱の技巧でそれっぽく歌おうとはしない。年老いた歌手としての自分を充分に知った上での歌がここにある。ひとつひとつの歌を丁寧に、慈しむように歌うエタ・ジェイムズがいる。彼女のリアルな誠実な歌声が私の耳に届いてくる。
ドロシー・ムーアの有名曲"Misty Blue"、オーティス・レディングの"Cigarretes & Coffee"、リトル・ミルトンの"Let Me Down Easy"などは、無理にテンションを上げないでじっくりと繊細に歌う彼女の中低域の歌声が、歌に深い説得力を持たせている。
そして、彼女がこのアルバムについて「すべての曲がブルーズ」と言っているように、その奥底に流れているディープなブルーズ・フィーリング。この感覚こそ彼女の持ち味だ。

最後だと思って聴いていると、いままで彼女のアルバムや映像が想い出され、そして私にとっては1975年のロスのクラブ「ライトハウス」での素晴らしいライヴが心に浮かび落涙しそうになる。

老いていくシンガーの美しい歌を聴き、老いていくシンガーの美しい姿を見せてもらった。
でも、これで終わりにはしたくないので「おつかれさま」とは言いたくない。
もう一枚、さらにもう一枚、エタ・ジェイムズがアルバムを届けてくれる日を待ち続けたい。

ORIGINAL FOLK BLUES-SMOKEY HOGG (KENT RECORDS KST 524)

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世の中には約束事というのがあり、何人かの人間が共同でひとつ事を成し遂げるにはみんなが約束事を守らないと成果は上がらない。
ブルーズを何人かで演奏する場合、一般的なブルーズの定型のパターン(1コーラス12小節、3コード)というので演奏されることが多い。決められた小節数でコード・チェンジすることが約束事だ。
しかし、ライトニン・ホプキンス、ジョン・リー・フッカーといったカントリー・ブルーズマンの場合、ひとりの弾き語りで演奏することから始まっているのでコード・チェンジは気ままにチェンジされてしまうことが多々ある。すると、バンドはパニックとまでは言わないが、戸惑い状態になる。
結局、歌っている御大に合わせるしかないのだが、音楽にやたら整合性を求める人にとってはこの混乱がこの上なく気持ち悪いらしい。でも、私は長い歳月、そういうぐしゃとしたブルーズを聴いているので、いまはさしてその事が気にならなくなってしまった。慣れは恐ろしい。
このテキサスのカントリー・ブルーズマン、スモーキー・ホグのアルバムにもライトニン、ジョン・リー同様の小節数、コードのズレが多々あるのだが、なんとなくバックのピアノやベースがうまくフォローしている。ズレる度に「おっと」と思うだけで、まったく気持ち悪さは感じない。却って面白く思ってしまう。まあ、一緒に演奏している人たちはちょっと大変だろうが・・・。かって御大ジョン・リーはこう言われた-「コードのチェンジというのは自分の気持ちがチェンジする時にするものだ」 御意!
KENTレーベルのこのレコード盤。収録されている曲はすでにCDで持っているのだが、ジャケット見ているうちに欲しくなってしまった。牛乳瓶二本とドライ・ジンの瓶一本。数多い酔いどれのブルーズマンの中でも有名な酔いどれホグ。ジンを飲み過ぎた翌朝は牛乳を飲んでいたということか・・・。それとも飲む前に牛乳を飲んで胃を保護しろよということか。コンセプトがよくわからんジャケット写真だが、なんとなくいい感じではないか。ライトニンほど有名ではないが、テキサスの男っぽいカラッとしたブルーズを聴かせてくれる。中身もいい感じだ。

初買い

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加湿空気清浄器を買い替えに新宿に出たのに、迷いに迷いどれにするか決められず結局買わずに出直しとなった。その帰り迷うことなくレコード店3軒はしごして、また迷うことなくレコード4枚、CD8枚、DVD1枚を購入。今年の初買いの成果はなかなかのものだったが、加湿空気清浄器は購入機種が今日もまだ決まらないでいる。

My Great Treasures

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2.My Great Treasures
2011年はいろんな方から貴重なアルバム、音源などをいただいた年だった。オフィシャルなものからブートレッグの珍しいものまでアナログ・レコード、CDと自分にとってはこの上ない宝物で大切に聴かせてもらっている。本当にありがたい。
房之助にもらったトゥセイン・マッコールのアルバムが今年の最後かと思っていたら、千葉の染織家のKさんから分厚いボブ・マーリーの本"Marley Legend"が届いた。ボブ・マーリーの生涯を綴った長い文と珍しい写真、それにポスターやコンサート・チケット、バックステージのパス、ステージのセッティング図、ツアーのスケジュールリストなどの付録にわくわくさせられたが、いちばん見入ってしまったのは、ボブ・マーリーが書いた自筆歌詞のコピーだ。とくに"Turn Your Lights Down Low"は大好きな曲なのですごくうれしかった。一時期レゲエもいろいろ聴いたが、私にとってレゲエはやはりボブ・マーリーだ。本のページーを繰りながら、冬の午後、窓から差してくる陽射しにまどろんで"Exodus"を聴く。いい師走だ。

Hello 2012

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 A Happy New Year!
大晦日に横浜でライヴをやって中條さんの車で送っていただき、元旦2日は小さなおせちと雑煮を食べて静かな正月を過ごした。
しかし、神社に参拝に出かけても、近所を歩いてみても、自分が子供の頃にあったような静かだけれど華やかな正月ムードは年々失せているような気がする。家々の国旗や門松、松飾りも少なくなっているし、2日あたりから開けている店も多く、年末バーゲンの店は丸一日過ぎれば今度は初売りをやっている。
コンビニもずっと営業しているし、街中に何か新しく始まる感じが漂ってない。

そんな元旦、いただいた正月仕様の真新しい箸袋を眺めながら、和服を着た正月の父の姿を想い出した。
子供の頃は、買ってもらった真新しいセーターやズボンを着て、正座をして親に新年の挨拶をし、お屠蘇を飲みおせちを食べて、お年玉が父親から渡されるのをワクワクして待った。
そして、近隣の人たちに新年の挨拶をして神社に参拝に行く。
数日すれば学校で会う友達から届いた年賀状を見て嬉しかったり、年賀の挨拶に来た人たちからもらったお年玉に父親からのお年玉を合わせて何を買おうかと考えたり、新しい日記帳を作ったりと正月は静かに過ぎて行くけれど新しい始まりだった。
ここ数年、そういう新年のムードが希薄に感じられるのは私が年を取ったからか。
そんな話をしていたら、独楽や凧揚げや歌留多の時代はとうに去り、wiiの時代になったのだと友人に言われた。
wiiか・・・知らん。見たこともない。

今年は神社で自分や家族の幸せだけでなく、日本の幸せを願った人がたくさんいただろう。
復興が早く進み平穏無事な一年でありますように!
今年もよろしくお願いします。

永井ホトケ隆

Good Bye 2011

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2011年12月31日早朝。
じーんとする寒さの中、ベランダに出ると来春に咲く花の緑の芽が見えた。
花開くまではまだまだ待たされる日が続く。

いろんなことがありすぎるくらいあった年でした。
そして、一生ずっと忘れられない年でした。
いや、忘れないようにしなければならない年でした。
人の力になることの難しさを感じた年でした。

そんな中、新しいアルバムを出して、長いツアーをして、新しい街へ行き新しい出会いがあった1年でした。
わずかな時間ですが、自分たちが作る音の中でささやかな幸せをたくさんの人たちと分かち合った1年でした。

今年もありがとうございました。
来年がみなさんにとってよい年でありますように。

永井ホトケ隆

師走の新宿御苑の写真を添えて

初のアコギ旅

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今度の11/3大阪のブルーズ講座は「ロバート・ジョンソン特集」。ロバート・ジョンソンが好きなので音源はもちろんだが、いろんなジョンソン関係の本をかなり持っている。それで講座の前に下調べというほどのものではないが、また関係の本を読み、ネットで探り、音源を聞き直ししているうちに時間はどんどん過ぎ、いよいよ明後日になってしまった。もちろんジョンソンの曲も演奏するので結構仕込みは大変だ。でも神秘的なこのブルーズマンをみんなに知ってもらうのは嬉しい。
今回は久しぶりに11/4和歌山のオールドタイムにも行くので、ジェイムズ・テイラー好きのマスター松本さんにも初めてアコースティック・ギターでブルーズを聞いてもらうことになる。
もちろん11/5泉佐野、漫画屋もアコギだ。

是非、お越しください。