MY NOTES > DIARY




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6月某日「会うかなぁ!こんなとこで・・・・」
  新宿タワー・レコードへ行ったあとブラブラしていると、すごい人ごみの中をプラプラ歩いている中村キタロー君を発見!!しかも私と同じタワー・レコードの黄色い袋を下げて・・・。ほとんど夕方から夜にしか会ったことのない同業者に昼間しかも新宿で、しかも同じ黄色い袋さげてばったり出会うというのはちょっと気恥ずかしいような複雑な気持ちになるものです。でも、どこかでお茶でもしょうということになり(そういうおっさんたちのお茶というのもなんだかなぁ・・ですが)、たぶんあまり客がいないだろう私の知っているホテルのレストランへ。しかし、私も風体については偉そうなことは言えませんが、すっかり夏仕様ファッションのキタローはかなり得体の知れない感じでした。歌舞伎町の風俗か水商売関係に見えないこともない。もっと妄想すると、何かヤバい事情で日本から逃げ、マウイ島あたりで日本人観光客相手にいいかげんな観光案内して結構な金をぶん取ってふわふわ生きている男のようなにも見えます。でも、こういう彼の訳のわからない感じが私はステキだと思います。私のソロ・アルバム"Fool's Paradise"をプロデュース・アレンジしてくれた時もレコーディングで訳のわからないおもろいことがたくさんありました。
「ところでタワーで何を買ったの?」とお互いに見せあいっこすると彼の袋から出てきたのはマイケル・ジャクソンの「スリラー」と「オフ・ザ・ウォール」のスペシャル・エディション盤2枚。どちらもクインシー・ジョーンズがプロデュースしたあのバカみたいに売れたアルバム。でも、今頃なぜ・・・ほら、やっぱりヘンでしょ。話を聴くと最近友だちにこれらのマイケルのアルバムを聴かされてえらいカッコいいと感動したらしいです・・・今頃。でも、このあまりに大きなタイム・ラグがキタロー君です。私もこの二枚のアルバムはよく聴きました。いいアルバムです。ジャケ写のマイケルも可愛くていいです。何故あんなに顔をいじったのか理解に苦しみます。ちなみに私のタワー袋に入っていたのはチャック・ブラウンの新譜でした。ふたりで2時間ほどこれからの日本の音楽シーンについての展望と世界戦略のための意見交換をしました。ウソです。ただのおっさんのくだらない話でげらげら笑ってました。ああ、たったひとつ役に立つ情報がありました。
9月にクアトロでキタロー君がプロデュース、そしてベースも弾いている「アナム&マキ」のライブがあるということです。みんなで得体の知れないベースのおっさんを観に行きましょう!もちろん「アナマキ」はGooooood!!です。
そして、いま写真を改めて見てわかったのですが、キタローさん前歯一本抜けてません?(Photo参照)その前歯の抜けた笑顔がとてもブルーズマン的であります。今度、またブルーズ・セッションしましょう。
6月某日「シカゴからの嬉しい便り」
  シカゴから菊田俊介君の新譜"Rising Shun"(Yotsuba Records BCSKS-1)が届く。シカゴにずっと住みココ・テイラーはじめシカゴのブルーズマンたちのサポートを続けながらも、こうしてコンスタントに自分のアルバムを発表し続けている姿にはいつも敬意を抱いている。今回のアルバムには懐かしいJ.W.ウィリアムス、ビリー・ブランチ、そして今夏に来日するココ・テイラーもゲスト参加している。菊田君もココのバンドで一緒に日本に来るのでみなさん是非コンサートにも足を運んでください。アルバムの詳細はhttp://www.shunkikuta.com/をご覧ください。
6/12(火)「blues.the-butcher-590213」 JIROKICHI
  Members:永井“ホトケ隆”vo&g,KOTEZ bluesharp,中條卓b,沼澤尚dr.

今朝、ベランダの白い桔梗が花開いていた。
仙台から駆けつけてくれた「enn」の加藤さんとJIROKICHIに向かって歩いていたら、高円寺駅前のカフェに見たことのある色の黒いでも黒人ではない男がいた。(近藤)房之助だった。自慢の自転車に乗る時のピチピチ・ファッションだった。しかしカフェが似合わない、やっぱりオマエは居酒屋だ。何してんの?と訊くと、今日は浅野君が亡くなってからの特別のライブだと聞いて来たんだと言う。今日は亡くなったベーシストの青木智仁君の命日でもあり、房之助は高円寺に来る前に青木君の墓参りにも行ってきたということだった。思い起こせば青木君も房之助に紹介してもらい、浅野君に初めて出会ったのも房之助がやっていた「ジゴッツ」というバンドに彼が在籍していた時だった。
JIROKICHIに着くとすでにたくさんの人たちが整理券を求めて待っていてくれた。ありがたい。今日のメンバー4人でやるのは初めてだが、みんなブルーズ・フリークなのでリハーサルにもそんなに時間はかからなかった。房之助には2部の最後の方で出てもらうことにした。ところが自転車は持ってきたけどギターは持って来なかったのでJIROKICHIのスタッフ、TAKAがどこからかギターを調達してきた。ギター持って来いよな!房之助! CDやTシャツ、缶バッジの販売の段取りも済んで、さあ第一回目の「blues.the-butcher-590213」ライブの用意は出来た。
リハが終わってメシを食べに外へ出ると、ものすごくたくさんの人たちが並んでいて、長年この店に出演している私は「これは全員は入れないな」と思った。入れなかったたくさんの方々申し訳ありませんでした。
でも、7月も8月もありますからこれに懲りずにまた来てください。Guest Bookに沼澤君が記してくれたように6/12のこのライブは「浅野さんがずっと思い続けて、そしてしっかり残していった「志」を永遠に続けていくためのスタート」だったのです。私も「追悼」というのは、それっきり終わってしまうようでイヤなのです。
もちろん、浅野君なくしてThe Blues Powerはあり得ないのでThe Blues Powerは終わりです。でも、浅野君と沼澤君と私の三人にあるブルーズへの強い志は終わりのないものです。だから、私と沼澤君はもちろん現実的に続けていかなければならないけど、そこに天国に逝った浅野君がいつでも来てくれるように、そしてみなさんの心にずっとずっと浅野君が残っていくようにこの「blues.the-butcher-590213」を出来る限り続けていきたいと思っています。いまはこの4人で月に一度JIROKICHIで・・と思ってますが、その内ツアーにも出たいと考えています。よろしくお願いします。
1部の最初は浅野君とやろうと言ってたロバート・ジョンソンの"Ramblin' On My Mind "を私の弾き語りでやった。この「彷徨う心」はひとりで歌いたかった。でも、予期していた以上に緊張した。
KOTEZとデュオでやった"Key To The Highway "は浅野君と「仏仏茶」のデュオの時にいつもやっていたブルーズ。今回はなるべくブルーズパワーでやっていた、とくにレコーディングした曲は浅野君のギターの存在があまりにも大きく避けることにした。そして、KOTEZのハーモニカをフィーチャーできる曲を・・・と選曲した。2部の2曲目"Walkin' By Myself"は最近「仏仏茶」で浅野君が歌っていたジミー・ロジャースの曲。「僕のすべての愛は君にあげたじゃないか。これ以上僕に何ができるんだ。僕はもうひとりで歩いていくよ」というこのブルーズを浅野君は少し照れながら歌っていた。歌がとても良かったからもっと歌うことを私はいつも彼に勧めていた。比較的ダウンホームなジミー・ロジャースが自分に合っていたせいか、同じジミー・ロジャースの"That's All Right"や"Act Like You Love Me"も浅野君はそのうち歌おうとしていた。次回、どちらかやろうかなと思っています。
来ていただいたみなさん!暖かい拍手と声援をありがとうございました。そして、来ていただいたのに入れなかったみなさん、感謝しています。みなさんの気持ちは私たちメンバー、スタッフそして中で聴いていたみんなと同じです。たくさんのみなさんの真摯な、熱い気持ちを受け止めながら前に歩を進めていきたいと思います。ありがとうございました。
次回7月は31日、そして8月は15日に「blues.the-butcher-590213」をやります。みなさん、また会いましょう!
最後に・・・・・歌いながら、浅野君が「ホトケさん、ちゃんとブルーズやりたいんですよ」と私に言った日のことを想い出してました。それは私を再び真正面から奥深いブルーズという音楽に向かわせた言葉でした。再びそういう気持ちにさせてくれた浅野君に心から感謝しています。

1部
1.Ramblin' On My Mind (HOTOKE SOLO)
2.Key To The Highway (HOTOKE&KOTEZ )
3.Mystery Train (HOTOKE&KOTEZ)
4.I'm Ready
5.Rainy In My Heart(KOTEZ vo)
6.Blues With A Feeling
7.You Belong To Me
2部
1.Off The Wall (inst)
2.Walkin' By Myself
3.Wanna Be Loved (KOTEZ vo)
4.Those Lonely Lonely Nights
5.Baby What You Want Me To Do
6.Hoochie Coochie Man (飛び入りゲスト/近藤房之助 以下The Blues Is Alrightまで)
7.Stormy Monday(近藤房之助 vo)
8.Messin' With The Kids
9.Shake Your Money Maker

encore:
1.The Blues Is Alright
2.Love In Vain
「何もないなまけ者の日々〜2007春」
  ここのところずっとライブもなくたまにレコード店と本屋に行く以外はずっと家にいて過ごしていた。天気のいい日が続いたせいかベランダに植えたヒマワリの種が勢いよく芽を出してきた。だいぶ前に種を蒔いたカサブランカはすごく背が伸びてもう開花しそうなのに気をもたせてまだ咲かない。桔梗ももうブレイク寸前だ。でも、やっぱり何か季節の花が欲しくて花屋で小さなうす青い紫陽花を買った。梅雨の時期には紫陽花を眺めながら、スリム・ハーポの"Rainin' In My Heart"を聴く・・これがブルース・フリークの情緒というものだ。

久しぶりにレンタルビデオ屋に行き「めぐりあう時間たち」という映画を観たらハマってしまった。大好きなメリル・ストリーブが出演しているので観たのだけど、不思議なムードのある映画でイマジネーションを気持ちよく刺激された。とくに共演しているジュリアン・ムーアという女優の醸し出す雰囲気がたまらなく良かった。

そして、この映画の主題に関連しているヴァージニア・ウルフ著の「ダロウェイ夫人」を買って読んでみたら、ややこしいけど文章が素晴らしくて読破した。そして、代表作のひとつ「オーランドー」(これも映画化されていて以前観た)も本屋で隣りにあったので買って読んだ。これは両性具有をテーマにしたちょっとぶっとんだ話というか、ファンタスティックな話でついていくのに大変だったが面白かった。どちらの本もかなり入り込まないとわからなくなってしまう本でしばらく係りっきりになってしまった。そう言えば「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」という確かエリザベス・テイラー主演の映画があった・・・今度はそれを観ようと思っている。山田太一が編集した「生きるかなしみ」という文庫本も良かった。いろんな作家の短編作品が収録されている本だが、とくに時実新子の「私のアンドレ」と宮澤賢治の弟さんの宮澤清六の「兄のトランク」、そして杉山龍丸の「ふたつの悲しみ」が胸に迫った。

CDは公民権闘争時代のプロテスト・ソングなどを収録したメイヴィス・ステイプルの新譜"We'll Never Turn Back"がいい。ステイプル・シンガーズ時代からの彼女の変わらぬ歌う姿勢と、それをバックアップするライ・クーダーたちの信念のある一枚だ。そして、ついに出た!"The American Folk-Blues Festival"の第4弾"The British Tours 1963-1966"のDVD!サニーボーイ・ウィリアムスン、マディ・ウォーターズはじめ女性シンガー、Sugar Pie DeSante、それに豪快な弾き語りゴスペル女性シンガーSister Rosetta Tharpe!!バックミュージシャンも素晴らしい。抜群のグルーヴでよく転がるオーティス・スパンのピアノ、ギターに名人マット・マーフィ、ベースにシカゴ・ブルーズのフィクサー、ウィリー・ディクソン、ドラムにビル・ステップニーと悪い訳がない。ジョー・ターナーとジュニア・ウェルズのセットではギターにオーティス・ラッシュ!!ベースにジャック・マイヤーズ、ドラムにフレッド・ビロウも登場する。しかし、この60年代イギリスで人気のあったハウリン・ウルフは一段と高い歓声で迎えられている。もちろん右腕のギタリスト、ヒューバート・サムリンを擁しての演奏だ。パワフルでディープなウルフ節を聞かせてくれる。しかし、今回の私の一等賞はなんと言ってもライトニン・ホプキンスだ。もうギター、歌、ファッション、アクション、ムード・・すべてがカッコイイ!ここ数年、私の一番のアイドルはライトニンだ。とくにリズムが素晴らしい。踊り出してしまいたくなるライトニン・スタイルの弾き語りグルーヴだ。ひとりであんな風にブルーズがやれたらなぁ・・・・と何度もライトニンに見入ってしまっている。残念だったのはギターの名手、エイモス・ギャレットが来日していたのに見逃してしまったことだ。

ゆっくり本を読めたり溜まっているDVDを観る時間があることは有り難いが、やっぱりライブをやらないと体調が悪い。悲しいかな30数年のバンドマン生活で体調保全の基本はライブになっている。ライブがないならライトニン目指して練習すればいいものを、これがまた下手なくせに練習嫌いときている。ひとりでギター持って歌ってみてもものの30分くらいで飽きてしまう。以前はライブのない日が続くとカラオケに行って「ビートルズ全曲制覇」「ジャズ・スタンダード歌い尽くし」「我思い出のロック特集」とかやっていたのだが、最近はそういう行動力もなくなってしまった。先日RoosterでYancyと久しぶりのライブだった日は、年甲斐もなく緊張した。しかも"Such A Night"で突然Yancyがギター・ソロなんぞ振ってくるものだから、顔もこわばった。いつもYancyには「コードが3つ以上の曲はソロを回さないでくれ」と言ってるのに、本番になるとニコッと笑って「ホトケさん、ソロ」なんて言う。私には大いなる試練だ。来月は7/4にRoosterだ。私の試練を観たい方は是非どうぞ。明日6/12はJIROKICHI。いままで私のミスを巧妙にカヴァーしてくれていた浅野君がもういないので、めちゃくちゃ不安だ。でも、きっと天国からどれどれとやってくると思う。漁師のヨシさんになりすましてくるかも知れない。私は霊感はまるでないし、臆病者なのでそういう世界を怖がってもいるが、浅野君に会えるなら全然怖いとは思わない。会いたいなぁ・・・。じゃ、みなさん、明日。
2007/05/20 日曜日
  朝、ベランダに出て久しぶりに植物の手入れをした。咲き終わった花を片付けて、枯れている葉を取り除き、雑草の処理をした。そろそろ夏に咲く花の種を蒔かないと・・・と思ったがそこまではやる気が出なかった。乾いた風が気持ちよくてしばらく椅子に座りぼんやりしていた。蟻や小さな虫が植物の周りを忙しく歩き回っている。それを見ていて、家の中ばかりにいないでちょっと出かけてみようと午後自転車で好きな多摩川に出た。土手に上がると空が一気に開けた。空の青さと土手の緑と雲の白さの中、穏やかに多摩川が流れていた。風は少し夏の匂いがした。バーベキューをしながらビールを飲んでいる人たちのにぎやかな声、走り回る子供の嬌声、犬の鳴き声、自転車がすり抜けていく音、鉄橋を渡る電車の規則的な音、耳に当たる風の音・・・・そのすべての風景、音、匂いに生きている自分を感じるけれど、これは長い長い夢の途中かも知れないと思うほど美しく、平和な時間だった。
毎朝起きれば、カーテンを開けて、テレビをつけてニュースを見ながら朝ごはんを食べ、新聞を読んでコーヒーを飲み、携帯を見てメールを確認する。朝早くメールするとすぐに彼からリターンが来たものだ。いや彼から朝早くメールが来ることもあった・・「今度はウルフやりましょう!」なんて。
浅野君が急逝して1ヶ月が過ぎた。
明日も朝起きれば、カーテンを開けて、テレビをつけてニュースを見ながら朝ごはんを食べ、新聞を読んでコーヒーを飲み、携帯を見てメールを確認する私だ。何も考えずに毎朝、私はそれを繰り返してきた。今朝もそれをした。たぶん明日もするんだろう。たぶん明日も私は生きてるだろうから。
いままであまり考えもしなかった「生き続けていくこと」という大層な考えが頻繁に頭をよぎる1ヶ月だった。いまだに残された音源や映像を聴いたり、見たりできないでぼんやりそんなことを考えている私に「ホトケさん、ぼんやりしてたらダメですよ。浅野さんが忘れられないように何か作っていかないと」と、尻を叩くメールが沼澤君からやってくる。確かにそうだ。尻を叩かれてありがたいと思う。残された音源を聴いた彼から「すごい!浅野さんすごいギター弾いてますよ!」というメールも来る。音を聴いてみないと、そろそろ・・・・。沼澤君はこれからのアイデアもいろいろ出してくれる。前へ駒を進めてくれる。感謝してます。
明日、天気がよかったら朝顔と向日葵の種を蒔こう。
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