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8月某日「ドブに捨てた3,445円」の巻
  8月の終わりのことだった。久しぶりにゆっくりタワーレコードに行きあれやこれや欲しかったCD、DVDを買い込んでそろそろ帰ろうかと思った頃、たまたまミック・ハックネルというシンガーの"Tribute To Bobby"というアルバムが目に入った。そういえばこのアルバム、今月のbsr(ブルース&ソウル・レコード)誌で絶賛されてたなぁ・・・と手に取ってみた。私ははっきり言ってこのミック・ハックネルも彼のバンド、シンプリー・レッドも名前しか知らない。興味もない。しかし、この"Tribute To Bobby"というアルバムが偉大なブルーズマン、ボビー"ブルー"ブランドに捧げられたアルバムだということは少し気になっていた。白人のロック・シンガーがどんな風に偉大なブランドの曲を歌っているのかというのは興味をそそられるところだ。それで試聴できないか・・・と思ったが試聴コーナーにはこのアルバムは入ってなかった。値段は3,445円。高い。何故高いかと言うとメイキングのようなDVDが付いているからだ。そんなDVDは要らないのだが。買おうかどうしょうか・・・・と悩むこと約10分。曲目を見ると"Father Up The Road""Ain't That Lovin' You""Stormy Monday Blues""Cry Cry Cry"などブランドの名曲がずらり。どうしょうか・・・。その時、頭をよぎったのがbsr誌の「今月の注目盤」というコーナーに書いてあったアルバム評だった。高地明君、小出斉君といった筋金入りライター陣そして編集長の濱田廣也君まで全員がすごく高い評価をしていた。とくに小出君は5つ星の満点。つまり「歴史的名盤」という評価だ。お三方とも私は信用できる音楽ライターだと常々思っている。その三人が素晴らしいと評価しているのだから・・・と3,445円を払って購入した。
そして家にいそいそと帰り聴きました。
はっきり言って「もう二度と聴くことはないアルバム」だ。
途中で聴くのを止めたかったが我慢して一応最後まで聴いた。
1曲目の"Farther Up The Road"からして原曲のシャッフルのビートをアレンジしたつもりだろうが、やけにかる〜いこの16ビートは何だ?途中のキーボード・ソロのダサさは何だ!
2曲目の"Ain't That Lovin' You"にしても全編に要らない音が多すぎる。とくに盛り上げようとするあざといアレンジがうざい。
6曲目のチャカポコ・チャカポコ・・・・リズムの"Stormy Monday"に至ってはあの素晴らしいブランドの"Stormy Monday"をバカにしてんのか!?オマエ!と怒りがこみ上げてきた。歌もダメだがこれもアレンジ過多のサウンドでもう辟易。何も私は原曲そのままにやれと言っているわけではない。どんなにアレンジしても絶対にハズしてはならないその曲のエッセンスというのはある。つまり、その曲の何が核なのかそれを見極めてアレンジするのがセンスだと思うが、このアルバムにはいいセンスは何もなかった。
曲の完成度が高い時はアレンジの仕様がないということもある。そんなことぐらいわかるだろう。
10曲目"I Pity The Fool"は映画「ライトニン・イン・ザ・ボトル」で歌っていたロバート・クレイ(この人もいまあまり好きやないけどね)とシメキア・コープランド(彼女は映画で本当に素晴らしかった)のデュオの方が100倍いい。で、途中でわかった!こいつらはシャッフルをみんな16ビートにしてばっちりの「今の」アレンジだと思ってるんやね。アホやね。
11曲目"Cry,Cry,Cry"のブリティッシュ・ポップみたいなこの軽さは何だ?こっちがCry,Cry,Cry・・・泣きたくなってきた。途中から出てくるサックスのリフはまるでBGMみたい。やれやれ・・・。

こんなアルバムを本気であのお三方が何故絶賛したのかまるで理解に苦しむ。10年後、いや1年後、お三方がこのアルバムをまだ聴いているとは思えない。歴史的名盤という評価は例えばボビー・ブランドの"Two Steps From The Blues"やマディ・ウォーターズの"The Best Of Muddy Waters"、ライトニン・ホプキンスの"Mojo Hand"、B.B.キングの"Live At The Regal"などと同じクオリティに値するということだ。つまり一生聴くに値するアルバムということではないだろうか。しかしこのアルバムは私には1日も聴くに値しないアルバムだった。
ただミック・ハックネルという人がブランドをすごく好きだということはわかった。そして歌の細かいフレイズまでとてもうまくマネされている器用な人だということもわかった。でも、ここにBLUESはない。ブランドのあの濃厚な重厚なブルーズを炭酸水で薄めたような音楽だ。炭酸の泡と一緒にブランドが作ったブルーズのテイストはすべて飛んでしまっている。

最後にアルバムの評価というのは個人それぞれが決めるものだからお三方が悪いわけではない。それを信用した私が悪いのだ。こういう経験は昔から何度もしている。音楽雑誌のアルバム評を読まなければいいのだが、読んでしまうとアルバム評がやはり頭に残るのは仕方がない。もし、タワーで試聴できたら私は買わなかった。ああ、私がバカだった。I Pity The Fool...........
7/27 Thank You All! FUJI ROCK FESTIVAL 「blues.the-butcher-590213」
  苗場にたどりつけるのかと思うほどの大雨と雷に見舞われながら高速を走り続け「FUJI ROCK」に向かった。途中サービスエリアで雨宿りしている「シーナ&ロケッツ」のメンバーとばったり!やっぱり縁がある。シーナがスニーカーを履いていて(初めて見ました)それがすごくキュートでした。
思えば3年前ブルーズパワーでFUJI ROCKに出演した時も大雨と雷だった。しかし、今回もあの時と同様に私たちの出番前にぴたっと雨も雷も止み空には虹が現れた。私たちが越後湯沢に着いた頃には三日間のイベントも終わりに近づいていて帰途に着こうとバス停に列をつくっている人たちも多かったし、激しい雨と雷にボロボロになって休憩所で座り込んでいる人たちもいた。でも、会場の苗場食堂に行くと3年前と同じスタッフの人たちも何人かいて懐かしくまた心強かった。
雨で地面がぬかるんでいる中、集まってくれたみなさんありがとう!フジ・ロック苗場食堂の最終日、最後の出演にふさわしい「ブルース・ザ・ブッチャー」のブルーズ雨アラレだったと思う。常設のギターアンプは使い回されてかなり音が歪んでいたけど、そんなことブルーズには問題なし!私たちメンバーはとても気持ちよく演奏できました。だんだんお客さんが増えていってみんなの体が揺れて最後にアンコールまでしてもらって最高でした。また来年、みなさんの応援をいただいて出演できればと思っています。Hey!Hey!The Blues Is Alright!菅原一剛さんが撮ってくれたショットを何枚かPhoto Diaryにアップしたのでそちらもご覧ください。
それからスマッシング・マグのカメラマン岡村直昭君が「フジロック・エクスプレス」にブルース・ザ・ブッチャーのステージをPhoto Reportしてくれています。ご覧下さい。以下の通りです。

Part-1
http://www.fujirockexpress.com/08/report/report.php?id=707&sgenre=2
Part-2
http://www.fujirockexpress.com/08/report/report.php?id=706

当日のメニューです。
FUJI ROCK FES.2008.7.27
1.Off The Wall
2.So Many Roads So Many Trains
3.Feel So Good
4.Te-Ni-Nee-Ni-Nu
5.Slippin'&Slidin'
6.Hoochie CoochIe Man
7.Killing Floor
8.Mystery Train
encore:The Blues Is Alright
☆blues.the-butcher-590213ファースト・アルバム"Spoonful"発売ツアー(2008.6.30〜7/16)
  6/30 長いツアーの始まり。初日の神戸から事件発生。前日午前中に東京から宅急便でホテルに送った荷物が届いていない。宅急便に問い合わせたところ私の荷物はなんと神戸を通り過ぎて何故か広島あたりに行っているらしいとのこと。何故だ?送り状には兵庫県神戸市と記載したし、郵便番号もホテルの電話番号も書いているのに何故に広島へ・・・。しかも、その後荷物は広島ではなく岡山に行っているらしいと連絡が来た。実はその荷物(旅行鞄)にはツアーでの衣類、洗面用具、常備薬、ポータブルCDとCD、本など・・・つまり楽器以外のすべてがギュウギュウに詰め込まれている。どうする?
そうこうしているうちにリハーサルの時間だ。最初はややキレていたが次第にあきらめに入り、電話口で平謝りに謝る宅急便の中間管理職らしきおっさんに「まあ、届かなかったものはしゃぁーないけど、荷物が一体どこにあるのかぐらいはっきりさせてくれます?岡山らしい・・じゃなくてね。そして、それがいつ届くのかも連絡ください」と言って電話を切りリハーサル〜本番に入った。やれやれ初日、演奏前からこれだ。結局、どっかんどっかんの演奏を終え打上げでしこたま飲んで夜中ホテルに戻ると宅急便は届いていた。ところが・・・・。

7/1 今日は大阪。シャワーを浴びて「さぁ、着替えよう・・」と昨日夜中に届いた旅行鞄を開けようとしたところ鍵が掛かっていた。そうだ東京で宅急便に出す時になんかの拍子で開かないようにと鍵を掛けたのだ。その鍵がいつも持っている小さなバッグに入っているはず・・・・が、ない。ない、ない、ない・・・・・。すべてをひっくり返して探したがない。落ち着いて記憶を辿ってみたが・・・思い出せない。着替えも鞄の中なので私は素っ裸のままだ。そして頭は濡れたままだ。たぶん、自宅のデスクの上にでもポンと置いてバッグに入れるのを忘れたのだろう。しかし、この鍵の開かない鞄・・・どうしよう。楽器用の小さなドライバーで鍵穴を探ってみたが開くはずもなく。「あああぁぁ」とベッドに大の字になった。どうでもいいが素っ裸だ。鍵を壊して着替え出して新しい鞄を買いに走る・・・という案が閃いた。しかし、鍵をうまく壊せるのか・・・結構大仕事だったりして・・・。なにか妙案は・・・・。そうだイカ君だ。イカ君ことツアーマネージャー橋川君に電話してみよう!すると橋川君はあっさり「鍵屋さんに開けてもらったらどうですか」と。そうか鍵屋か。それで携帯ネットで鍵屋を探してみると2つ3つある。そのひとつに電話して「ホテルまで来て鞄の鍵開けてもらえますか?」と訊くと、「そのホテルならすぐ近くですからうちまで持ってきてもらえますか。それの方が早くできるし値段も安いですよ」とのこと。それで仕方なく前日の服を再び着て暑い日差しの中ガラガラと鞄を引っ張って約10数分その鍵の会社にたどり着いた。するとなんと20秒ほどで鍵はあっさり開けられた。そして、数千円を支払った。20秒で数千円は高いと思ったが鍵が開けられた喜びの方が遥かに大きく私は「ありがとうございました!」とまた荷物をガラガラと引っ張ってホテルへ帰った。まだ、ツアー二日目だ。どうなるこれから。
大阪「ビッグキャット」もセンター・ステージでの演奏だった。お客さんに囲まれて演奏するというのは手の内を見られているようで少し緊張する。と言っても手の内には技がごく少ししかない私だが・・・。でも、PAミキサーのガチョさんのおかげでとてもいい気分で演奏できました。ガチョさん、この日誕生日でした!!おめでとうでした。

7/2 岡山 岡山には昔来たことがあるような気がするが、またいつものことで思い出せない。あとで「MO:GLA」に来たお客さんに訊いたら20年以上前に名古屋の「アップタイト」と来たことがあるという。全然思い出せない。「MO:GLA」は初めてだったけどブルーズ好きのお客さんもかなりいていいノリだった。いちばん前に頭を振ってノッているメタボな若者がいて最高でした。

7/3 尾道は亡き浅野君の友人でもあるお医者さんの和田さんがライヴだけでなくいろいろ面倒を見て下さった。ライヴではその和田さんのバンドがオープニングで盛り上げてくれ、アンコールでは和田さんを呼び入れてセッションもやりました。和田さんのバンド「サンセット・ブールバード」のみなさんは同じメンバーで20年ほどクラプトンのカヴァーをやっているということで、さすがにそのサウンドには年季が入ってました。「OYE COMO VA」に入り切れないほどたくさん集まっていただきありがとうございました。打上げも含め楽しい夜でした!本番前にひとりで少し散策しただけだが尾道はいい!昭和生まれにはたまらない哀愁のある街だ。迷路のような飲み屋街の通りも船着き場のある港も急な阪になっている住宅街も、少し淋しげな商店街も・・・みんな気に入ってしまった。

7/4 広島 今日で5連チャン目だ。ちょっと疲れてきているが演奏している時はやたら元気だ。元気といえば「OTIS」のマスター佐伯さんはこの日もめちゃ元気だった。なんか「たわし健康法」とかを最近やりだしたらしい。体中をたわしでこする・・それだけらしいが。
広島!今度行く時はもう少したくさん集まって盛り上がりましょう!あんな大きな街なんだから・・・。

7/5 広島から福岡に新幹線で向かい、そこから飛行機で鹿児島へ。鹿児島で飛行機を乗り換え奄美へ・・・。
今日はOFFなので奄美に着いたら一息つけると思ったが着くなり新聞2社のインタビューがあり、そのあと奄美FMで島唄の坪山豊さんをゲストに「BLUES POWER」の収録。そして宴会。疲れが取れないままの1日だったがなんかテンションが上がっていて眠れなかった。

7/6は夜「大浜サマーフェスティバル」に出演するのでその時間に間に合うように加計呂麻島へ観光した。どこもかしこも美しい奄美だが、加計呂麻島は時間が止まり風と波の音だけが聴こえる別天地だった。大好きな「寅さん」の最後のロケ地でもある。ナビゲーターの西條さんが寅さんとリリーがふたり並んで海を見た場所に連れて行ってくれた。「大浜サマーフェスティバル」はアメリカの片田舎のロック・フェスのように子供たちが走り回りほのぼの、のんびりしたいいコンサートだった。
夜遅く、20数年前「ウエストロード」を呼んでコンサートを開いてくれた、ひさどめさんがビリヤード・バーをやっているというので訪ねてみた。お元気そうで何よりでした。昔のコンサートの話やいまのビリヤード・バーの話をしながらブルーズのレコードを聴かせてもらって飲むウィスキーは旨かった。

7/7 奄美3日目は「ASIVI」でのライヴ。お客さんの集まりものんびりしていて東京とはやはりタイム感が全然違う。もうすこしユルい曲をやった方がいいかな・・と思いつつも結局いつもドカドカで寄り切り!疲れているのに打上げは楽しくて止められず・・・ズルズルズルズル、黒糖焼酎はうまい!

7/8 ツアー前半の最終日、博多「GATE'S 7」。なんと以前「チョコレート・クリーム」というイベント会社をやっていた木下君がスタッフにいるではないか!九州の人だと聞いていたけどここで会うとは・・・。「ジューク・レコード」の松本さんも来てくれてありがとうございました。ステージは前半の最後ということでパワーを振り絞りました。

7/13 名古屋 ツアー後半の始まりは名古屋「TOKUZO」から。
いつものセンター・ステージでぶりぶりに飛ばした。
田舎から実兄と義姉と甥が来てくれていた。身内の前で歌うのは少し恥ずかしい。打ち上げで兄は自分の方が歌は上手いと言っていた。確かにカラオケ替え歌は兄の方が上手いが・・・。

7/14 京都 磔磔で「ブルース・ザ・ブッチャー」をやるのは初めてだ。祇園祭り宵山の初日と重なってしまったがたくさんのお客さんに集まっていただいた。30数年前に自分がブルーズを始めた京都ということもあるし、昔から馴染みの磔磔ということもあり、緊張とリラックスのバランスがうまく取れていい気分でできた。

7/15 金沢 金沢もすっかり馴染んだ街になってきた。時間があれば訪ねたいところはたくさんあるのだがこの日もまず鮨の「弥助」へ行きみんなでランチ。いつもながら絶品の味。「弥助」を知ってから中途半端な寿司屋に行く気がなくなってしまった。金もないくせに舌だけ肥えていくツアー・ミュージシャン・・・困ったものだ。「もっきりや」はもうすこしキャパが大きいと音量も気兼ねなく出せていいのだが、いつも前の方で聴いている方がうるさくないかと気になっている。と言っても結局ドカンドカンにやってしまうのだけど。

7/16 富山 いよいよツアー最後の日だ。前日の金沢からなんか体調がおかしいと思っていたら風邪をひいてしまった。ホテルや移動の電車の空調のことやらいろいろ言い訳はあるのだけど、歌手が風邪をひくのは恥ずかしいことだと常々思っている。朝から強い薬を飲んだのでやや朦朧として富山に着いた。「Summer Knight」はオープニングに「ハード&ルース」というブルーズ系のバンドが出てくれたのだがこのバンドがなかなかいい味出してました。
体調は完璧ではなかったのですが、気力がそれを上回ったすごくいいライヴになりました。ツアーの中でこの日がお客さんの動員がいちばん少なかったのですが、最後はほぼ全員総立ちになるというお客さんのグルーヴも最高でした。最後をいい感じで終えれて本当に嬉しかったです。演奏後、楽屋での「終わったね」「やったね」というメンバーの言葉がこの長い、ハードなツアーを終えた達成感と安堵感を表してました。

ツアーに来てくださったすべてのお客さん、ファンのみなさん、そして各ライヴハウスのスタッフ、共演バンド、手伝ってくれた方々、本当にありがとうございました。
このハードなアルバム発売ツアーはメンバーの心にたくさんのものを残したと思います。ツアーは当然のことながら毎日お客さんも違うし、PAや機材も、お店も違うわけです。そして、メンバー個人個人の気持ちや体調も毎日変わります。音楽的にはどんな状態であれベストなものを出そうとするのは当たり前なのですが、その日々の気持ちを音に表すことができるのもBLUESという音楽だと私は思います。そういう日々の想いをBLUESという音楽に託して毎日演奏できる幸せをいま強く感じています。そして、こういうツアー、ライヴを繰り返していくうちにバンド「blues.the-butcher-590213」はより揺るぎない強いものになっていくのだと思います。
また、ライヴでお会いしましょう!!ありがとう! Hey! Hey! The Blues Is Alright!
6/27
  東北をツアー中に水戸two-fiveの石井君から何度も留守電が入っていた。次の水戸でのライヴの連絡だろうと思い電話をかけると「ホトケさん、Kさんが亡くなったんですよ」と。地震後の八戸のホテルのロビーで一瞬目の前の光景が歪んでしまった。心筋梗塞とのことだった。Kさんとは以前Diaryに書いたこともある、私にギター(メルセデス・ブルーのストラット・キャスター/エリック・クラプトン・モデル)とフェンダーのアンプをプレゼントして下さった方だ。先日はKさんのご自宅に初めておじゃまして素敵なご家族にも紹介していただいた。そして、嬉しそうに自慢のギターも見せて下さったので、私も手に取り弾かせてもらった。その時は本当にお元気でツアーに出る私の体を気遣って下さった。そして、駅まで送っていただき「19日のJIROKICHIのライヴに行きますから、またその時に・・」と言われてお別れした。体のしっかりした、どこにも悪そうなところのない方だったので本当に驚いている。礼節のあるでもとても心が打ち解ける方でこれからもっと仲良くなれると思っていたのに残念だ。
今日、渡せなかった「blues.the-butcher-590213」のアルバムを持ってお通夜に行く。
6/12〜6/17『ムッシュ&ホトケのRocking Blues Tour 2008』
  6/12出発時刻に早く着き過ぎた私が上野駅構内の蕎麦屋でひとり蕎麦をすすっていると、そこへ偶然ムッシュとマネージャーの大野さんが現れた。おはようございます・・・・そこからこのツアーは始まった。
いわきではリハーサルが終わると当然のように全員で中国料理店「味希」へなだれ込み。実は翌日のランチを「味希」で予約していたので前日はどこか違う店に行くかと思っていたが、ムッシュ、沼澤タッグに押されるように「味希」へ。しかし、毎日食べても飽きない、いくらでも食べれる中華というのはここだけかも知れない。やっぱり絶品でした。
そして、翌日はまたまったく違うメニューでランチを出してくれた「味希」のマスターはやはり超一流です。
いわきではいつも来てくれるオヤジたちがやたら盛り上がって楽しかったが、盛り上がった分初日から酒の量も増えた。
今回のツアーはまったく曲順を決めなかった。一応、ムッシュと私が歌いそうな曲を紙にざぁっと書いてはいたが、1曲終わるたびにムッシュと私が勝手に曲を始めるか誰かが次は「あの曲やりません?」という感じでステージを進行した。その「決めていない」感じがとても楽しくてよかった。

前回、「blues.the-butcher-590213」でもめちゃ盛り上がった八戸「A7」では、ステージに出るなりアイドル並の大声援に迎えられた。前に陣取り飲むオヤジ、にっこりしている女性、真剣に見つめるバンドやってる風の男の子、後ろで踊っている若い人たち・・・実に年齢層のバランスもよく、みんなの楽しそうな顔が素敵でした。終わってから沼澤君の好物「せんべい汁」がお店から出され、それをいただきながら酒もすすみました。

翌日14日はOFFで仙台に移動の予定だったが、朝ホテルで出発の準備をしている時にグラグラ、ユラユラと地震。テレビをつけると震度4だった。揺れはそんなに大きくなかったが揺れがなかなか収まらないのが不安だった。幸い私たちは無事だったが、テレビのニュースを見るたびに被害が広がっていくのでこれからの日程がどうなるやら・・・。案の定新幹線が止まってしまったために仙台への移動ができなくなり、私たちはホテルのロビーで朝食を取りながらしばし様子を見ることにした。そう言えばこの日、仙台で安藤裕子さんのコンサートに出演する沼澤君はどうなったのか・・・と携帯に電話してみると、さすが沼澤君、新幹線の復旧をあきらめ八戸のファンの方の車で仙台に向かっているという。結局その判断は大正解で新幹線は終日動かなかった。そして、沼澤君は東京から向かってきた他のメンバーよりも早く仙台の会場に着いていたという。えらい!超一流!私なら「すいません、地震で仙台へ行けなくなりましたぁ〜」と言って休んで飲んでるかも知れない。実際、OFFとは言え私たち(ムッシュ、私、中條君、ムッシュのマネージャー大野さん)は仙台のホテルと新幹線の切符をキャンセルし前日も行った八戸の蕎麦屋「番丁庵」さんでなんと! 6時間半も日本酒を飲みいろいろ食べて話をして過ごしたのだ。しかし、なかなかいい時間だった。店の旦那さんが前日のライヴに来てくれていて少し仲良くなっていたのも功を奏した。店内には前日旦那さんが買ってくれた「blues.the-butcher-590213」のアルバムがヘビー・ローテーションで流れ、あでもないこうでもないと語らいながら昼間からの日本酒にまどろんだ私たちでした。ちなみにこの「番丁庵」の蕎麦はめちゃ旨い!酒の肴もめちゃ旨い!それで結局この日は八戸泊まり。ムッシュの歌のように「どうにかなるさ」な一日でした。

翌15日、復活した新幹線で仙台へ。そこからennの加藤さんの車で石巻へ。幸い石巻もひどい被害はなく客席は満杯。もう少しで全員総立ちでしたが・・・。演奏が終わってからムッシュの大ファンというお寿司屋さん「かなめ鮨」の旦那さんが「ラ・ストラーダ」まで来て新鮮なネタで握ってくれました。それはもうめちゃウマでした。

16日弘前では「サティスファクション」の途中でムッシュがスパイダーズ時代の「エレクトリックおばあちゃん」を歌われた。そう!この歌には「弘前のおばぁ〜ちゃん」という歌詞が出てくるのだ。実はムッシュのお爺さんの故郷が弘前ということもあって今回のツアーを組んだのだった。そして、「エレクトリックおばあちゃん」は弘前のみなさんへのムッシュの素敵なプレゼントでした。今回は弘前だけ対バンがあった。その対バンだった「Othum & The Blues Dave」はセッションバンドらしかったが締まったいいバンドで、メンバーひとりひとりの力量もなかなかのものでした。演奏後、打ち上げの席で彼らの仲間に入れてもらって話したのがすごく楽しかった。今度はどこかでセッションしたいなぁ。そう言えばその打ち上げの「炉辺」という郷土料理屋さんもすごく美味しかった。とくに山菜。ちょっと季節は過ぎていると言われたけど他では食べれない美味しいものだった。

翌17日は東京への戻り日だったが、電車に乗る前に私がDJをしているラジオ番組「BLUES POWER」のゲストにムッシュに来ていただいた。天気のいい昼下がりのサテライト・スタジオでムッシュのお父様ジャズ・シンガー、故ティーブ釜萢さんとムッシュが1971年に録音されたアルバム「Father&Mad Son」などをOn Airした。"Walkin' My Baby Back Home"でのティーブさんの優しい歌声が弘前の街に流れていくようだった。On Air日は弘前アップルウエーブでは7/25と8/22です。
ムッシュのお爺さんの故郷が弘前ということで地震がなければもう一日弘前を一緒に観光しょうと思っていたのですが・・・・それはまた次の機会に。
6/12のいわき「Bar Queen」、13の八戸「A7」、15石巻「ラ・ストラーダ」、16弘前「マグネット」と、どこの会場も盛り上がり本当に楽しい旅だった。各地で美味しいもの食べながら、美味しい酒を飲んで、いい人たちと出会って、楽しい話をして、そして夜ごとの盛り上がったライヴ・・・。帰りの列車の中でムッシュに「こんな毎日がずっと続くといいですね」と言うと、「ほんとにね」とムッシュはにっこりされた。また、旅に出ましょう!!
最後に地震の被害に遭われてライヴに来れなかったファンのみなさんもいます。また、行きますからその時に会いましょう!これからの早い復興を無事を祈ってます!
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