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2010.3.20 blues.the-butcher-590213 at JIROKICHI
  故塩次伸二から譲り受けたテレキャスターがあまりにいいので、ここしばらくずっと使っていたらフレットがかなり減ってしまいしばらくメンテナンスに出すことになった。
シェクターの今井さんにお願いしてフレットを削る「すりあわせ」というのをやっていただきギター全体の調整もしていただいた。
ライヴの前々日、戻ってきたギターと再会すると「おまえ、なんかきれいになったやん」という感じで、よく見るとマイクとブリッジのあたりもきれいにクリーニングされていた。病院と美容院の両方に行って帰ってきたみたいでえらいべっぴんさんになっていた。
今井さん、ありがとうございます。

そのきれいになったギターで気持ちよく興奮できたJIROKICHIのライヴだった。

常々思っていることだが、自分の体調から始まりギター、アンプ、PAの調子そしてお客さんの反応などライヴの善し悪しはいろんな要素に左右される。

余談だが、私の場合自分の酔い具合も重要なポイントで、この夜は暑かったのでハイボールにした。
久しぶりに飲んだハイボールはなんか懐かしくでもすっきりしていて気持ちよく「酔いゾーン」に入れた。
実は高校生の時、初めてひとりで飲んだウィスキーがハイボールだった(それ以前子供の頃から時々親父に日本酒など飲まされていたが・・)。何故ハイボールにしたのかよく憶えていない。たぶん酒の種類も知らないのにどこかで聴いてハイボールを頼むとかっこいいかなと思ったのだろう。
場所はジャズ喫茶でカウンターの中に小雪さんはいなかった。中にいたのは「ビリー・ホリディなんかおまえにはまだわからないだろうなぁ」とジャズ講釈をするウザいマスターだった。吸っていたタバコは缶ピーと呼ばれた両切りの缶入りピース。読んでいたのはサルトルとかボーヴォワールでおフランスかぶれだったが、本の中身は半分以下しか理解できてなかった。「私は暴力に対してひとつの方法しか持っていない。それは暴力だ」とかいうサルトルの言葉に「おお、かっこいい」なんて勝手にアホな解釈をしていた。
それで1時間も経たないうちに、「難しい本+飲めもしないウィスキー+ウザいマスター=悪酔い〜トイレに駆け込む」ということになっていた。
というのがハイボールの思い出だ。

この夜のライヴは、お客さんが素晴らしい反応をしてくれる+体調がいい+ハイボールがうまい+ギター、アンプ、PAの調子がいい・・・とすべて良く、とてもいいライヴになったと思う。
新しくやった"I'm Tore Down"もいい感じだったと思う。
前にも言ったように、私たちのHOMEであるJIROKICHIの月1のライヴではバンドとして常に新しいことにトライしょうと思っているので何か音が作られていく生現場を聴きたい、観たい方は是非毎回(!)JIROKICHIにお越しください。
それで今日は久しぶりに曲のセット・リスト公開です。
1st.Stage
1.Baby,Scratch My Back(inst)
2.I Don't Want No Woman
3.Someday After Awhile
4.Found Love(KOTEZ sings)
5.Everything Gonna Be Alright(KOTEZ sings)
6.I'm Tore Down
7.Good Bye Baby
8.Dust My Broom

2nd.Stage
1.That's All Right
2.Blow Wind Blow
3.Mary Had A Little Lamb
4.Te-Ni-Nee-Ni-Nu(KOTEZ sings)
5.Up The Line(KOTEZ sings)
6.Don't Throw Your Love On Me So Strong
7.Killing Floor
8.I Feel So Good

encore:1.Rollin'&Tumblin'
2.Love In Vain

では、また来月4/15にJIROKICHIでお会いしましょう。
「2009年を振り返って・・・」
  今年は6月に『blues.the-butcher-590213』の新しい2ndアルバム"Mojo Boogie"をリリースできただけでなく、9月にはムッシュかまやつさんとのコラボ・アルバム"Rockin With Monsieur"のリリースと1年に二枚も発表できたことは本当に幸せでした。

『blues.the-butcher-590213』のライヴ活動はまず高円寺JIROKICHIでのマンスリーを新たな可能性を探すべく月1確実にやり続けてきました。また、70本ほどのツアー・ライヴをこなした他、ライジング・サンなどいくつかのフェスティバルに出演したことはバンドとしての体力を更につけることになったと思います。
そして、ムッシュ、LEYONA、近藤房之助、鮎川誠(シーナ&ロケッツ)のみなさんをバンドのゲストに迎えたことも自分たちの新たな刺激となりました。この場を借りてみなさんに感謝の気持ちを伝えます。ありがとうございました。

そして、私たちのライヴに来ていただいたすべてのみなさんに心から感謝します。
会社の仕事終わって急いで駆けつけてくれる人たち、雨の日にライヴハウスの開店を傘をさして待っていてくれる人たち、遠くから会場に足を運んでくれる人たち、楽しそうに踊りそして一緒に歌っている人たち、楽しくて酔っぱらってしまう人たち・・・・いろんな人たちがひとつの場所に集い、そしてみなさんの笑顔と揺れる体が私たちの演奏と一緒になった時に自分たちは正しいことをしていると、その時自分たちには力があるのだと私は確証を持てます。

私たちがライヴを行ったすべてのライヴハウス、会場のオーナー、スタッフのみなさん、大野さん、井村くんとP-Vine Records、菅原さんとストロベリー・ピクチャーズのみなさん、そして私たちのライヴを助けてくれているたくさんのみなさん、今年はありがとうございました。

来年はまだ行ったことのない鳥取や島根方面、そして九州のディープサウスへもライヴに向かいたいと思います。

では、みなさん良いお年をお迎えください。来年もよろしく!ライヴで会いましょう!

☆最後に2009年 胸に響いた音と映像と本(たぶん、まだ書き忘れているものもあると思いますが・・・・。順番は何も関係ありません。ただ思いついた順です)

1.B.B.King/Live In Africa '74(DVD P-Vine PVD-50)

2.Blind Blake/The Complete Recordings(P-Vine PCD-18539/43)

3.Mavis Spaples/Live;Hope At Hideout(Anti 86993-2)

4.Little Walter/The Complete Chess Masters 1950-1967(Hip-O Select B0012636-02)

5.Chuck Berry/You Never Can Tell-His Complete Chess Recordings 1960-1966(Hip-O Select B0012465-02)

6.The George Mitchell Collection (Fat Possum Records)

7.イシュマン・ブレイシー(Ishman Bracy)/キング・オブ・ザ・ブルーズ12(P-Vine PCD-2433)

8.Eddie Taylor with Louis Myers,Dave Myers And Odie Payne,Jr./Live In Japan 1977 Deluxe Edition(P-Vine PCD-28007/8)

9.The Beatles/MONO BOX(EMIミュージック・ジャパン TOCP-71041 )

10.Bob Dylan/Don't Look Back(DVD ソニー・ミュージック MHBP 95-6)

11.Sugar Pie Desanto/Go Go Power- The Complete Chess Singles 1961-1966(Kent CDKEND317)

12.レス・ポールの伝説(DVD ポニー・キャニオン PCBP-51703)

13.Bob Dylan/Together Through Life(ソニー SICP2237)

14.Tommy Johnson/Big Road Blues(P-Vine PCD-15032 )

15.Little Willie John/Heaven All Around Me The Later KING Sessions 1961-63

16.伝説のマックスウェル・ストリート〜シカゴ・ブルースの聖地に生きた人々(DVD &CD&Booklet P-Vine)

17.James Taylor/One Man Band(DVD Hear Music/Concord 7231453 )

18.Robert Wilkins/Prodigal Son(P-Vine PCD-15033)

19.ハウリン・ウルフ ブルースを生きた狼の一生(書籍)ジェイムズ・セグレスト/マーク・ホフマン 著 / 新井崇嗣 訳/P-Vine Books

20.ムッシュ!/ムッシュかまやつ(書籍)文春文庫

21.Dust My Broom/菅原一剛(写真集)Softbank Creative
「誕生日のプレゼント」
  先日24日。誕生日だったが「誕生日おめでとう」と言われるのももう恥ずかしい年になってしまった。
元々、私の家では誕生日を祝う習慣がなく子供の頃も父母や兄から「誕生日おめでとう」と言われた記憶がない。
でも、母がチラシ寿司などを作ってくれていた記憶があるようなないような・・そんな感じだ。
もちろんケーキはなかった。プレゼントもなかった。自分から家族にプレゼントを贈ったこともなかった。
最近は年老いた母には花など贈ったりしているが、兄には今更・・・という感じで何もしない。
でも、子供の頃私の周りの友達で誕生日に特別なことをしてもらっている奴はあまりいなかったと思う。
学校で「オレ、今日誕生日なんだ」と言っても「へぇ、そうなんだ」で終わっていた。
金持ちのお上品な同級生の家では「お誕生日会」というのをやっていたが、小学4年生くらいからアウト・ローだった私にお誘いはなかった。
翌日「昨日のケーキおいしかったよね」と、お上品なお仲間たちが教室で話しているのを聞いて「ケーキ食いたい」とは思った。
でも、「お誕生日会」に呼んでもらえなくても悲しくもなんともなかった。もし、そこに行ったとしてもどういう風に振る舞えばいいか私はわからなかっただろうし、その子に持っていくプレゼントを買うこづかいもなかったからだ。
自分の誕生日を祝ってもらえなかったからと言って別に悲しくも淋しくもなかった。
私の子供の頃は大半がそうだったのだ。
クリスマスも酔っぱらった父がどこかのバーかナイトクラブでもらったバターケーキが崩れかけで目の前に現れるくらいだった。
もちろんクリスマス・プレゼンはない。
年に一回のイベントは正月だった。
新しい服を買ってもらったり、ごちそうが出てきたり、お年玉をもらったり・・最大のイベント、サプライズは正月だった。
だからいまも誕生日が身についていない。気恥ずかしいのだ。
しかし、若い頃からめちゃくちゃなことをやってきたのにここまで生きて来れたこの丈夫な体を作ってくれた両親には感謝だ。
誕生日は自分が祝ってもらう日ではなく、実は両親や周りの人たちに感謝する日なのかも知れない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなことを考えながら新潟"Song Of Earth"のイベントに向かうために東京駅構内を急いで歩いていたら、いきなり制服警官ふたりが私の前に立ちふさがり「ちょっといいですか」ときたもんだ。
おう!久しぶりの職質だ。しかも東京駅だからすごくたくさん人が歩いている中での職質だ。
結構、こう見えても私は「職質慣れ」している。自慢ではないが過去何度も職質されている。
「職質顔」なのかも知れない。つまり人相が悪い?
ふたりの警官に「何でしょうか?」と明るい声で答える私。
「ちょっとバッグとか見せていただきたいのですが、人も多いのでちょっとあちらの隅っこの方へ来ていただけますか?」
「いや、ここでいいです。何も変なものありませんからここで見てください」
人のいないところで警官に変な小細工されるのはイヤなので職質はたくさん人がいるところの方がいい。
「これはギターですか?」とギター・ケースを指して警官は言う。
「そうですが、何に思えます?ライフルとかですか」
「あの・・バッグの中見せていただいていいですか?」
「はぁ・・・いいですよ。いいですけど何をお探しなんですか?ドラッグとか危険物とかですか?」
「まあ、いまいろいろ事件が起きているんで・・・・」
「私、やっぱり見てくれがおかしいんでしようか?変な奴に見えます?」
「そういうわけじゃないんですけどね。はははははっ」
「見えるでしょうね。黒ずくめでおっさんで長髪で顔色悪くて人相悪くてギターケース持ってて急ぎ足で・・・こいつは何か持ってるなって思ったんでしょ」
「いや、フツーの方も調べさせてもらっていますから・・」
「ほら、やっぱりフツーじゃないんでしょ私。見てくれが。やっぱ人間見てくれですよね」
「いや、そういうんじゃないんですけど・・・・これはなんですか?」と警官がやや緊張した声で私のピル・ケースをツマミ出した。
「それはですね。ひとつずつ説明しますとこれが胃薬、これが風邪薬かな、これが鎮痛剤。それからこれはアリナミンね」
「この黒いカプセルはなんですか?」
「それね(笑)。ドラッグ関係に見えるでしょ。でもそれはね、先日行ったすっぽん料理屋の女将がくれたすっぽんの甲羅を粉末にしたもので元気でますよ。ひとつ差し上げましょうか?」
「ははははっ、いや結構です」
「ギター・ケースもいいですか?」
「はい、何でも調べてください。でもね、新幹線の出発時間まであまりないんですよ。弁当も買いたいし・・・・ね」
「はい・・・」と、言って警官のひとりはギターの絃などが入ったポーチも丹念に調べている。
「これはなんですか?」
「それはギターのピックケースです。どうぞ中見てください」とジミ・ヘンの絵が描いてある小さなケースを開けて見せた。
今度は絃が入ったイシバシ楽器の袋を見ている。
ふたりの警官は顔を見合わせて「こいつ、何もなかったな・・・」という感じ。
しかし、周りを歩いている人たちがジロジロ見ていく。
やっぱヤバイことでつかまる奴はこんな奴なんだ・・・・って思ってるんだろうな。
大声で「私は何も持ってないのに、何もやってないのにしつこく職質されているんです!」と言いたい。
時間も経って次第にキレてきた私は「服のポケットとかも探しますか?パンツの中とか・・なんならここで裸になりましょうか?」と言った。
すると、警官は「ああ、いいです。いいです」「ありがとうございました」と職質は終わりふたりは去っていった。
やっぱり周りからジロジロ見られている。
「ほら、オレは無罪だ!」と言いたい。
無罪と大きく墨で紙に書いて裁判所前から走りたい。
でも、無罪っていうのも変だな。
誕生日の昼下がりに思い出に残る警視庁からのプレゼント・・・・職務質問でした。
Happy Birthday To Me〜♪
(2009/10/27更新)
09.09.09 渋谷タワーレコード『ビートルズ祭り』セレモニーの夜
  『ビートルズ祭り』セレモニーに私とムッシュがゲストで呼ばれた。
1987年にビートルズのアルバムがCD化されてから22年経って今回初めてのデジタル・リマスターされるということで私もその音を聴いてみたが、これが実に素晴らしい。かなり高価なものだがやっぱり買うかという気に私も傾いている。
さて、そのセレモニーの様子だ。(photo diaryも見てください)
実は先日、渋谷タワーでインストア・ライヴをやった時に今回の『ビートルズ祭り』の担当の方が「くす玉」か「テープカット」があるのでよろしくと言う話を楽屋でされいた。その時私は「テープカットの方がいいと思いますよ。くす玉は結構難しいですよ」と担当の方に申し上げた。
というのも私は学生の頃、いろんな催し物で使う看板や花輪やくす玉を作る会社でバイトをしたことがあった。その時くす玉は割れなかったり、ヒモがスポッと取れてしまったり、また始まる前にちょっとしたことで割れてしまったり、中身がきれいに出なかったり・・と作るのがなかなか難しかったという記憶があったからだ。
だが、この日控え室に行くと担当の方が「くす玉」になりましたと言われた時からなんとなくイヤな予感が・・・。
さて、セレモニーは始まり私とムッシュがひな壇に座ってインタビューされ、いよいよカウントダウンが近づきくす玉割りというのでスタッフによってくす玉がよいしょよいしょとひな壇のところに持って来られた。テレビ・カメラ、新聞社はじめマスコミのカメラもスタンバイ。お客さんたちも携帯やデジカメを用意している。そろそろとくす玉が運ばれてきた。その出てきたくす玉が少し大き過ぎるのでは・・・・・・と思った瞬間、くす玉が・・・割れてしまった。ありゃ〜だ。割れないといけないと思ったのか、とじ目をゆるく作ってあったせいだろうがちょっとした勢いでくす玉は割れてしまった。
私は思わず「あ〜あっ」と言ってしまった。だからテープカットにしとけば・・・。
たくさん集まっていたお客さんたちは大笑いだ。私もムッシュもみんなもう笑うしかない。しかし、その瞬間ムッシュは笑いながらもすかさず「はぁ〜い。リハーサルでしたぁ」と言われた。さすが!
担当の人たちは慌ててくす玉の中身を元に戻している。戻すというか詰め込んでいる。その姿がまた笑える。これじゃコントだ。が、もうすぐ1分前だ。私もくす玉を元に戻すのを手伝う。もうドタバタだ。あと30秒くらいでやや不細工だがなんとか元の形に戻した。そして10・・9・・8・・とカウント・ダウンは大笑いのまま無事(無事じやないけど)終了。
ビートルズのアルバムを買い求めに夜中に来たフリークたちの笑いと喜びの中でなんとなくうまく終わった。
しかし、私とムッシュは控え室に戻っても笑いが止まらなかった。
たぶん天国のジョンも大笑いしているだろう。
教訓-くす玉には気をつけろ!
2009.6.14
  音楽を言葉にするのはとても難しいことで私も雑誌やライナーノーツに原稿を書く時は四苦八苦していますが、今回のアルバム"Mojo Boogie"について私の長年の朋友であり、相談役であり、いろんな意味で心を寄せているKさんからこんなメールをいただきました。
アルバムが褒められているからという理由ではなく、音楽を言葉にする時の文としてとても素晴らしいと思いご本人の承諾を得て掲載させていただきます。ちなみにKさんは編集の仕事をされています。
たぶん、こんな風に素晴らしい文を書けなくてもこんな風に思ってくれている人たちはたくさんいると私は信じてます。
でも、何か言葉でこうして書いていただくとまた背中を押され、前に進む気持ちになります。
では、とても個人的なメールなのですがお読みください。


『ホトケさん
こんばんはであります。
今日はなんだか蒸し暑かったですね。ひと息いれている時期でしょうか。

『MOJO BOOGIE』、いいですねえ。すばらしいアルバムになりましたね。
これまでの2枚、どっちも好きですが1曲目からぐいっと持っていかれます。今回もそれですね。このパワフルさはなんなんでしょう。
いっきに聴けてしまうのがなによりもいいですね。ブルースを聞きはじめたころ、カントリーブルースはすこし慣れというかのか、耳のグレードアップみたいなものが必要だったように思いますがシカゴブルースはアルバムに針を落とした瞬間からいきなりはまり込んでしまいました。そのとき感じを思い出しました。新宿のタワレコの視聴コーナーに現在のシカゴのミュージシャンたちが「ブルース名曲集」を演奏しているアルバム(カルロス・ジョンソンなんかもゲストで参加してました)があり、それをすこし聴いたんですが、緊張感と解放感が一体になったブルース感がつまっているのは明らかに『MOJO』でした。(カルロスさんはギターはいいですが歌が弱い?ギターもラッシュの『美は乱調にあり』感にはとうてい及ばない印象ですが…)

ぜんぶそうですが、とくにというか「I don't want〜」「mojo〜」は最初の音がすばらしいですね。「I don't want〜」はギターの勢い、音色がたまりません。だんだんに盛り上がっていくんじゃなくて、いきなりトップスピードに達する感覚がシカゴですね。リハなし即本番な感じが好きです。メンフィス以南だとこうはいかないでしょうね。テキサスもちょっとちがうかな。あ、でも「mojo〜」のワイルドな音はウエスト・メンフィスふうの荒くれな感じもします。ジョニー・ウィンターのヴァージョンがわりと好きだったんですが、こっちのほうがレノアーの意向に近いかもしれませんね。「one way out」のすこしモダンな空気感も好きです。うちの息子はこの曲が一番好きみたいで、ベース練習させてもらってます。オールマンのやつをさんざん聴いていたからよけい好きなのかもしれませんが。

「don't throw your〜」!このあたりはもうホトケさんの独擅場ですね。歌とギターの一体感は無敵でしょう。ソロに入る瞬間のうめきのような声がこれがまたまいります。今回ぼくが一番好きな曲でしょうか。声の力はまるで衰えてませんね。全体に感じましたがキイをまるで下げてない印象が全体のスピード感の秘密かもしれませんね。変な言い方ですが歌じたいがマイルス・バンドのポール・チェンバースとフィリー・ジョーのようです。もちろん実際にはタカちゃんと中条さんがその役割をはたしてくれているんだと思いますが、歌じたいがリズム隊のようにも聴こえます。すばらしいです。

「rip it up」のR&Rもいいですね。アルバムに幅を出してくれてますね。オリジナルはリトル・リチャードですか?面白いなと思ったのはkotezくんの歌う「blues with〜」で、彼が歌うとなぜかエクセロな風が吹きはじめるようで、いい感じにイナたくなりません?声質かなあ。

すばらしいアルバムに仕上がりましたね。ウエストのもっていた緊張感とホトケさんのキャリアがつくる解放感がちょうどいいバランスでバンドにミックスアップされたように思いました。イケイケ&速弾きギターをフィチャーしたブルースの好きな日本人ファンにいいショックを与えてくれると思います。オビにあった「50年代を呼び覚ます音から、新たなブルーズ衝動が生まれる」のコピー、名言だと思いました。ぼく自身は「50年代を呼び覚ます」というより「ブルースの生成を呼び覚ます、新たなブルーズ衝動」というような言い方のほうがしっくりきますが。

ところで…ここ2〜3年ホトケさんを見ていて、音楽を聴いていて、こりゃ負けてられないなあと、じつはこの4月に慶應大学の通信課程に入学、還暦を前に新入生として勉強をはじめました。ブッチャーさん、伸ちゃんは亡くなってしまいましたが、山岸くんTちゃんもみんなも自分の足で歩いてますよね。それを思うと自分の知識とか経験とかがあまりにも断片的であやふやなものか、ずっと気になってたんですが、まあどこまで行けるかはわかりませんがしばし悪戦苦闘してみたいと思ってます。「1」知るたびに「99」の知らないことがあることに気づかされる日々ですが、こうやってホトケさんの歌、ギター、『MOJO BOOGIE』のみんなの音楽を聴くのとおなじようにいい刺激になります。

しばらくしたらまたツアーですよね。日本中をブイブイいわせてきてください!』
(2009/06/15更新)

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